今の町田は好調時と何が違うのか? 柏戦で改めて浮上した課題と展望
町田は第34節・柏戦を1-1で終えた 【(C)FCMZ】
J1は例年、終盤戦になるほど「下剋上」が増える。第34節も首位・サンフレッチェ広島、2位・ヴィッセル神戸がともに敗れた。この週末は3位・町田も含めて「5強」が1チームも勝てていない。ただ町田は第31節(9月21日/町田0△0北海道コンサドーレ札幌)から4戦にわたって勝利がなく、苦境が長引いている。
3連敗を辛うじて免れた柏戦
柏はサイドを攻略して53分、55分と立て続けにCKも獲得。町田は藤本一輝、ナ・サンホと交代選手の準備を急ぎ、戦況を変えようとしていた。だが、交代選手が入る直前にCKから柏の先制点が決まった。
黒田剛監督は振り返る。
「CKを与える機会が多かったなというところで、守備面の対策・対応が必要になっていました。ちょっと嫌な予感がしたこともあり、あのCKの直前に(交代選手を)入れれば良かったんでしょうけど……。そこは結果論なので何とも言えないですけど、あそこは防がなければいけないCKだったことも含めて、あの後に猛攻を仕掛けるプランでもあったので痛ましい、もったいない失点だったと思います」
町田は終盤に立て直した。左サイドの藤本が、やはり交代で入ったボランチの下田や左サイドバック(SB)杉岡大暉との連携からいい仕掛けをした。
下田はこう分析する。
「(藤本)一輝が相手を引っ張れて、押し込んでいました。そこにスギ(杉岡)が絡んで、(下田が)3人目でスルスルといくと、そこまで相手がタイトに来ている感じはなかったです。良い場所を見つけられるように、意識をしていました」
藤本のPK獲得は、杉岡のクロスを下田が1タッチで落とした流れで生まれた。VARの介入により確認に時間はかかったが、藤本は安心して待っていたという。
「(相手のタックルが)当たっていたので審判にも言いましたし、見てもらえば絶対にPKになると思っていました」
下田が強いキックをゴール右に蹴り込み、町田は3連敗を何とか免れた。
「サイドの攻防」で後れを取る
柏は後半開始と同時にサイドからのチャンスメイクが増えた 【(C)J.LEAGUE】
明確に言えるのは町田の強みと言い得たサイド攻撃が「効かなくなっている」傾向だ。町田はサイドから迅速に敵陣へ侵入する狙いが強い。そこからエリア内の厚みを作ってゴールを生み、同時にCKやロングスローを増やしてきた。しかし柏戦は13分の右SB望月ヘンリー海輝のミスを皮切りに、サイドの「縦縦」から逆に相手のカウンターを誘発する場面が多かった。
キャプテンの昌子源は「ウチはここ最近、本当にカウンターをよく受けている」と述べた上で、後半の展開をこう振り返る。
「今日はCKを与える場面が多かったですね。そこからの失点だったし、僕も1本パスを(マテウス・)サヴィオ選手に取られてCKになりました。僕以外にもそういう細かいミスが多かったです」
柏戦のデータを見たとき、はっきり差が出ていたのはCKの本数だ。柏の12本に対して、町田は5本にとどまった。このデータからも柏はサイド攻撃、サイドの攻防で上回っていたことが分かる。相手にCKを12本も与えれば、それは失点に直結して当然だ。