【柏レイソル】リカルドレイソルの船出「2024Reysol Report Vol.1」

柏レイソル
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【©️KASHIWA REYSOL】

 今季からレイソルはリカルド・ロドリゲス監督を新たな指揮官として迎え入れ、同時に14名の新戦力が加わった。
 リカルド監督は、すでにJリーグでも十分な実績を残した名将であり、新戦力も前所属チームでは主力だった選手ばかりである。とはいえ、監督が替わればサッカーも変わる。新戦力も多く、ましてやレイソルは2年連続17位で、ギリギリでJ1残留を果たしたチーム。ここ数年はうまくいかないことの方が多かった。したがって、リカルド監督ならば開幕までにチームを一定レベルにまで仕上げてくるとは容易に予想できたものの、2月9日に行われた「ちばぎんカップ」と、先週のJ1開幕戦を目の当たりにして、想像以上の完成度に大きな驚きを抱いている。

 チーム構築にもっとも影響があるのは、監督の落とし込み方である。古賀太陽によれば、リカルド監督の説明は「簡潔で分かりやすく、多くの引き出しを持っている」とのこと。また、多くのクラブでプレーした経験を持つ原川力に話を聞くと「ゲーム形式の練習が多いので、実戦を通じて落とし込みができている」というのも、チーム全体の戦術浸透度を高めている理由のひとつだろう。

 さらに、過去にリカルド監督が率いたチームでプレーしていた選手が多く、犬飼智也、木下康介、垣田裕暉、ジエゴの4人に、今季から加わった小泉佳穂と渡井理己を入れて総勢6名。すでに監督の考えを熟知している彼らの存在は間違いなく大きい。
 ただ、リカルド監督は「過去に指揮を執ったチームの選手たちの存在は、チームの準備を進めるうえでポジティブに働いた」と前置きをしたうえで、このように続ける。
「一方で、そうではない他の選手たちも今シーズン、私たちとともにめざしたいプレースタイルを理解しようと献身的にトレーニングに励んでくれていますし、彼らが素早く私が求めるコンセプトを表現してくれている」

 1月の始動日からここまで、取材をして感じた今季のチームの特長に、選手の言葉の多さや、互いに意見を伝え合うコミュニケーションがある。
 昨季のチームも、決してコミュニケーションを取っていないわけではなかったが、チームが苦しいときこそ、選手同士が話し合い、考えを擦り合わせ、時には厳しく要求し合わなければならないという点では、昨季のチームに物足りなさを感じたのも事実だった。現にシーズン終了後には、戸嶋祥郎が「もっとチーム内で要求し合うべきだった」と反省の言葉を述べていた。

 今季のチームにおいて、目に見えない部分の大きな変化はそこである。「なぜ短期間でここまでの完成度まで来ているのか?」その質問について、仲間隼斗がこう答えていた。
「よく会話しているなというイメージです。みんなが始まる前もそうだし、途中もそうだし、終わった後もそうだし、話をしながら、そこにチームミーティングが入って『こうだよ』というところで、うまく擦り合わせができていると思います」

 試合に向けた準備段階でも、試合中の選手同士のやり取りでも、コミュニケーションは重要である。例えば開幕戦では、序盤こそアビスパのプレスを受ける時間もあったが、時間が進むにつれてレイソルは相手の戦い方にアジャストし、勝利を手繰り寄せることができた。選手同士の意思疎通が、結果的に大きな成果をもたらすことは開幕戦でも証明されている。
 ピッチ上で表現するサッカーだけではない。2025年のレイソルには、チーム内にポジティブな変化が確実に起き始めている。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤
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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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