ドジャースキャンプレポート2025(毎週木曜日更新)

投手・大谷翔平が挑む“高いハードル” TJ手術執刀医が語る懸念と、再起したデグロムがもたらす福音

丹羽政善

ブルペンで投球練習を行う大谷翔平(ドジャース) 【Photo by Brandon Sloter/Getty Images】

「ラストワン!」

 そう言って人差し指を立ててから、大谷翔平(ドジャース)が投げ込んだ1球は、捕手のミットを弾かんばかりに鳴らし、その豪快な音が、乾燥したドジャースのキャンプ地に響いた。

 2月15日(現地時間、以下同)、昨年11月に左肩の手術をしてから、初めてブルペンに入った大谷。見守ったデイブ・ロバーツ監督、マーク・プライヤー投手コーチはともに、「最初としては申し分ない。素晴らしかった」と声を揃えた。

ブルペンでの投球練習を終えた大谷翔平と、拍手するデイブ・ロバーツ監督(写真手前) 【写真は共同】

 かといってもちろん、これが復帰・完全復活を約束するものではない。ヤマはむしろこれから。強度を上げても、リカバリーに問題はないか。打者と対戦しても、フォームの再現性を保てるか。

 ただ少なくとも昨年、2度目のトミー・ジョン手術からジェーコブ・デグロム(レンジャーズ)が復帰したとき、ドジャースの関係者はほっとしたはずである。公表はされていないものの、彼の術式(2023年6月)も大谷と同じハイブリッド式(自らの靭帯と人工靱帯を移植)とされる。

 デグロムは大谷同様、100マイルの4シームとスライダーを配球の軸とするパワータイプで、彼がいつ復帰を果たし、どんなパフォーマンスを見せるのか、多くが注目していたが、とりわけドジャースの関係者は、その姿を大谷に重ね合わせていたのである。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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