スキッベ・サンフレッチェの集大成 「新スタ元年」に優勝へ邁進するサンフレッチェ広島の強さとは
攻撃と守備をじっくり整え、花開いた3年目
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2022年からサンフレッチェ広島の指揮を執っているミヒャエル・スキッベ監督 【Photo by Masashi Hara/Getty Images】
停滞が続いた「第2期」は4敗すべてで3失点を喫したが、ケガで離脱していた荒木隼人の復帰で守備陣はそれ以降4試合の無失点を含む6試合連続1失点以下に抑えるなど安定し、対する攻撃陣は川村拓夢や大橋祐紀がチームを離れた一方、トルガイ・アルスラン、ゴンサロ・パシエンシアといった経験豊富な外国籍アタッカーの加入で威力を維持。中盤には欧州で経験を積んだ川辺駿も復帰した。第31節の横浜F・マリノス戦を6-2で大勝してFC町田ゼルビアから首位の座を奪い、翌節の町田戦でも勝利を収めて現在は3連勝中と勢いに乗っている。
「弱み」を「強み」へ変えて見せたリーグ最強の攻撃陣
今季の広島をプレーデータから深掘りしていくと、見えてきたのは「強みではなかった部分の改善」である。 【画像提供:データスタジアム株式会社】
さらに、先制してから突き放せているのも今季の特徴の1つ。前半得点の差の影響もあるが、先制後に2-0とした割合が昨季は25.0%(先制16試合のうち4試合)であるに対し、今季は52.2%(先制23試合のうち12試合)と、倍以上になった。勢いのままにリードを作り、試合を優位に進めていることがわかる。また、2点目を奪った時間帯に注目すると、後半の立ち上がりから15分までの間で奪ったケースが5試合(1位)あり、ハーフタイムでの指示なども的確に機能していたことが推測される。
エディオンピースウイング広島の雰囲気は、サンフレッチェのイレブンに目に見えぬ力を与えている 【Photo by Masashi Hara/Getty Images】
そして、ボールを「持たされる」展開でも今季の広島は全く動じない。スキッベ監督のベースは堅守速攻のカウンターサッカーで、今季もショートカウンター、ロングカウンターともに1位の回数を記録している。その中で、30秒以上ボールを保持した攻撃での得点が昨季はわずか1点しか挙げられなかったのに対し、今季は6点を記録。昨季ワーストだった数字をリーグ中位(12位タイ)まで押し上げており、相手が引いた状況など攻撃に時間が掛かった状況からもネットを揺らす確率を上げている。
これまでに炙り出されてきたウイークポイントを克服し、「どこからでも、どんな状況でも」点を取れるチームになったことが、ここまでリーグトップとなる65得点を叩き出す原動力となっている。