2025シーズンJ1戦力ランキング
記事
2月14日に2025年のJリーグが開幕するが、現時点でJ1各クラブの戦力はどれくらい整備されているのか。お届けするのは、全20クラブの戦力ランキングだ。「攻撃力」「守備力」「選手層」「監督力」「完成度」という5項目について各20点満点で評価し、その合計ポイントによって導き出した。果たして、どんな順位になったのか。
(監修:河治良幸)
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解説
神戸vs広島、2強の争い!?
J1全20チームの現時点での戦力を5項目で評価したが、やはり合計点の最高値はリーグ2連覇中のヴィッセル神戸だ。ただし、2位のサンフレッチェ広島も神戸と1差の合計91で、ほとんど差がない。3位で並ぶガンバ大阪と鹿島アントラーズが合計84であることを考えれば、少なくとも戦前の戦力評価としては神戸と広島の2強と言える。
もちろん、長いシーズンでは展開によっていろいろなことが起こるし、神戸はACLエリート、広島はACL2での戦いも並行しないといけないので、戦力評価が結果を保証するものではない。しかし、この2チームを中心に上位争いが繰り広げられることは、ほぼ間違いないだろう。
神戸は吉田孝行監督が4年目で成熟期にあり、メンバーもほぼ変わらないため、「完成度」は最高評価の20とした。2024年のMVPである武藤嘉紀の引き留めに成功した一方で、山口蛍がJ2のV・ファーレン長崎に移籍したが、怪我で長期離脱していた齊藤未月がチーム練習に復帰しており、大きな力になりうる。攻守のバランスが取れているのは神戸の強みで、それが接戦での強さにもつながっている。ただ、爆発力に関してはやや課題があり、前半戦の状況次第では夏の補強がカギになるかもしれない。
シンプルに戦力値を見れば3連覇の可能性は十分と言いたいが、やはり過去に鹿島しか果たしていない偉業であり、ベースとなる強度の部分でも、ライバルが底上げしてくることを想定すると、昨年以上にタイトル防衛の難易度は高いだろう。何よりACLエリートという負荷の大きい大会が、シーズンを跨いで前半戦にも後半戦にもあることは、リーグ優勝のハードルを上げそうだ。国内での戦いだけが前提なら「選手層」は19でもいいが、アジアでの戦いも見越して17とした。過密日程に加えて、現在34歳のFW大迫勇也や33歳のDF酒井高徳、同じく33歳のMF扇原貴宏など、主力の平均年齢が確実に上がることも考慮に入れる必要がある。
ミヒャエル・スキッベ監督が同じく4年目を迎える広島は、昨年19得点のFWジャーメイン良をJ2降格のジュビロ磐田から獲得し、北海道コンサドーレ札幌から左利きのサイドプレーヤー菅大輝も補強。主力だった松本泰志(浦和レッズ)が抜けた中盤には“人気銘柄”の田中聡が湘南ベルマーレから加わり、昇格組の横浜FCから展開力に優れるMF井上潮音も手に入れた。リーグ優勝を狙うに相応しい陣容が整ってきている。
昨シーズン、リーグ最多の72得点を叩き出した「攻撃力」は「監督力」とともに20としたが、8得点を挙げたピエロス・ソティリウ(APOELニコシア)など、外国人FWがこぞって退団したことが、プラスとマイナスのどちらに作用するか。FW陣にはジャーメインに加え、9得点・6アシストを記録した加藤陸次樹 、大卒新人ナンバーワンFWとの呼び声もある中村草太、伸び盛りの19歳・井上愛簾、そして移籍の噂もあった満田誠と駒が揃っているが、現状は外国人枠に余裕があるため、開幕前の滑り込み移籍がなかったとしても、夏に外国人選手の補強の可能性があることは見込んでおきたい。
G大阪&鹿島への期待感と不安要素
神戸と広島を追いかけるチームの有力候補として、昨シーズンに上位争いを演じたG大阪、鹿島を挙げたい。ただ、筆者が戦力値の合計を80以上にした浦和、東京ヴェルディ、名古屋グランパス、FC町田ゼルビア、横浜F・マリノス、川崎フロンターレあたりまでは、開幕からのスタートダッシュ次第で優勝争いに絡んでくる可能性があると見ている。言い換えると、神戸と広島のベースが高く、少なくとも勝ち点70前後が優勝ラインと想定すると、対抗勢力がスタートで躓くのは致命的だ。
ガンバは昨季ベストイレブンのDF中谷進之介を中心としたディフェンス力が健在で、そこにJ2のジェフ千葉からDF佐々木翔悟が加わった。最高評価の20とした「守備力」は強みになりそうだ。
課題は、昨年ブレイクしたFW坂本一彩(ウェステルロー)、そして攻守に無尽蔵の稼動力を誇っていたMFダワン(移籍先未定)が抜けた代わりを誰が担うのか、というところ。中谷もこの主力2人が抜けたことは痛いと認めながら、前線は武者修行から帰還した若手の南野遥海と唐山翔自、鳴物入りで加入した高卒ルーキーの名和田我空らの台頭、中盤では美藤倫のさらなる成長に期待を寄せる。現時点ではその成長見込みは考慮に入れずに「攻撃力」を15としているが、“ラストピース”の外国人FWが加われば、開幕時に評価が変わっている可能性があることはご容赦いただきたい。
そのガンバと同じ合計84の鹿島は、川崎Fで4度のリーグ制覇を経験した鬼木達監督の招聘が何よりも大きい。「監督力」は19としたが、実績を考えれば20でもおかしくなく、現役時代を過ごした新天地で手腕を発揮できるかどうか。
もちろん、川崎Fとは大きく陣容が異なるため、チームの完成度という部分は割り引かざるを得ないが、そこもチームの“伸びしろ”と考えるならば、継続路線の神戸や広島、ガンバよりシーズンを通しての成長力は上かもしれない。ただ、やはりスタートダッシュを成功させないと、勝ち点70というところには届かないので、キャンプで多少の急仕上げをしていく必要はある。
補強の目玉はなんといっても昨年21得点のFWレオ・セアラ(セレッソ大阪から)で、大黒柱の鈴木優磨との攻撃の二枚看板はライバルチームにとって大きな脅威だ。タイトル奪還を目指すうえでは選手層がポイント。特にバックラインに関して、昨年は植田直通と関川郁万の頑丈さに頼ってしまったところもあるが、左利きのDFキム・テヒョンをJ2降格のサガン鳥栖から獲得しており、左右のサイドバックをこなせる小池龍太(横浜FMから)の加入も心強い。それでも攻守ともに、主力が大きなアクシデントなくシーズンを過ごすことが生命線になりそうだ。
5位評価以下にもポテンシャルの高いチーム多数あり
合計83の浦和は全ての要素がかなり高水準にまとまっている。課題だった攻撃力の部分も、ベストイレブンのマテウス・サヴィオ(柏レイソルから)に欧州から帰国した金子拓郎(コルトレイクから)、広島の主力だった松本という強力な3人のタレントを加えたことで、かなりの上昇が見込める。そしてキャンプから高い位置でのボール奪取と、ボールを動かしながら前進する新たなスタイルに取り組んでいることも加味すれば、昨年13位という低迷からの大きなジャンプアップに期待が持てる。
ただ、リーグ優勝というところまでいくには何か爆発的なものが必要で、昨年12得点のチアゴ・サンタナが、マテウス・サヴィオの助けによって得点王争いに加わるような活躍をすることが不可欠だろう。また昨年夏に加入して、なかなか実力を発揮できなかった原口元気の奮起にも期待したいところだ。
長谷川健太監督が4年目となる名古屋は、マテウス・カストロ(アル・タアーウンから)の復帰が何より大きい。現時点で「攻撃力」は15としているが、札幌から加入の浅野雄也などが早期にフィットできれば、上方修正は間違いないところだ。
守備面も、バランスワークに優れるDF原輝綺(清水エスパルスから)を補強し、他にも佐藤瑶大(浦和から)、宮大樹(アビスパ福岡から)というJ1での実績がある守備者が加わって、バックラインは昨年より強固になりそうだ。長くゴールマウスに君臨したGKランゲラック(メルボルン・ビクトリー)の退団によるダメージも、元日本代表GKシュミット・ダニエル(ヘントから)の獲得で最小限に止まると見られた。しかしそのシュミットが、開幕前に膝の負傷でチームを離脱。戻ってくるまで、ベテランの武田洋平ら他のGKで乗り切っていけるのか。「守備力」は16としたが、シュミットの離脱期間が長引くようだと、下方修正の必要が出てくるかもしれない。
昨シーズンは昇格組ながら最後まで優勝争いに加わった黒田剛監督の町田、そしてじわじわと成績を伸ばして、6位フィニッシュした城福浩監督のヴェルディは、再び上位争いに加わってくるポテンシャルは十分だ。
ただし、町田は黒田監督をコーチとして支えた金明輝氏が福岡の監督に就任したことが、どう影響するかは不透明。またライバルが、ある種の“町田慣れ”をしていることも無視できない。さらにシーズン後半にはACLエリートへの参戦が見込まれ、これにより、リーグ戦での戦いにどう影響してくるか。18に評価した「守備力」は札幌から加入の岡村大八が大きな働きをしそうだが、攻撃に関しては新戦力のFW西村拓真(横浜FMから)に加えて、代表候補でもある相馬勇紀が本当の意味でチームを引っ張る存在になれるかどうかもカギだ。
ヴェルディは3バックの主力が残留したうえに、パリ五輪代表のDF鈴木海音が磐田から加わったことは大きい。ただ、期限付き移籍だったFW木村勇大の完全移籍移行など、基本的には継続路線で、完成度が高い分、何かブレイクスルーの要素がないと昨シーズンを超えるような躍進は難しいだろう。
その基準で見ると、G大阪から移籍し、キャンプの練習試合で主力組に加わっている左サイドの福田湧矢は面白い存在だ。さらにテクニカルな組み立てを得意とするMF平川怜(磐田から加入)などが、序盤戦からキャプテンの森田晃樹を軸とした中盤の争いに食い込めるか。育成力にも定評のある城福監督だけに、大卒ルーキーの新井悠太や熊取谷一星のブレイクにも期待だ。
そのほかではスティーブ・ホーランド新監督のマリノス、長谷部茂利新監督の川崎Fが、新体制1年目から躍進できるかどうかも注目ポイント。そして昨シーズンは最終節まで残留争いに巻き込まれた柏が、かつて浦和などを率いたリカルド・ロドリゲス監督の下で、これまでとは全く違うスタイルに転換しているのは興味深い。
本当の完成までにはかなりの時間を要すると見るが、リカルド監督はチームが完成していないなりに結果を出せる指揮官だ。特に徳島ヴォルティス時代の教え子であるFW垣田裕暉の存在に加え、同じく“リカルド・チルドレン”のMF小泉佳穂(浦和から)、MF渡井理己(徳島から)が加入したのは大きい。それ以外にもDFの原田亘(鳥栖から)や杉岡大暉(湘南から)など、いかにもリカルド監督のスタイルにマッチしそうなタレントを補強しており、全てが噛み合えば1年目にして一桁順位も可能と見ている。
(企画・編集/YOJI-GEN)
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