今の町田は好調時と何が違うのか? 柏戦で改めて浮上した課題と展望
ネガティブサイクルをどう抜け出すのか?
藤本一輝(右)の活躍、好調は明るい材料だ 【(C)FCMZ】
ビルドアップに先回りしてスペースを消される、嫌な方向に誘導される中で、パスミスは生じる。特にSBがサイドハーフに預けるパスを奪われると、2枚が一気に置き去りにされる。柏戦は自分たちの「前への勢い」が逆にひっくり返され、極めて危険な形になっていた。
自分たちのミスや相手のカウンターが続くと「迷い」「躊躇」が生まれて攻撃の勢いは消える。今の町田からはそんなネガティブサイクルが見て取れる。
ゴールが決まらなくても攻め切る、カウンターを受けない「いい攻撃の終わり方」をするところが町田の特徴だった。しかし今はその強みが薄れている。特に柏戦はカウンター、サイド攻撃という自分たちの十八番(おはこ)を相手に奪われる展開だった。
サッカーは攻撃と守備が直結している競技だ。町田の守備は原則が徹底されていて、組織の練度も下がっていない。一方で攻撃の終わり方が悪くなったことで、危険なカウンターを受ける回数が増え、ボールをいい位置で「奪い返す」回数も減っている。
成功していたチーム故の難しさ
経験はチームと選手の糧になるだろうが、まずは残り4試合だ 【(C)FCMZ】
とはいえ優勝に手の届きそうな位置から、サポーターの期待値が上がった状況からの転落は明らかに痛い。しかも今の町田は内容的にも苦しんで、分かりやすい打開策があるわけではない。中山雄太やチャン・ミンギュ、柴戸海、安井拓也といった主力の負傷も当然ながら尾を引いている。選手がそれを理由に挙げることはないが、Web上のさまざまな“お叱り”がチームのスッキリしない空気に影響しているのも間違いないだろう。
完全に壊れているチームならばむしろ再建は容易だ。ただシーズンの大半で成功していた、コンセプトが明確なチームだからこそ、今の町田を「どう変えるか」は難しい調整になる。直面する課題が難しければ難しいほど、クリアしたときに得られるものは大きいのかもしれないが――。町田は黒田監督就任以来最大の「壁」に直面している。