静かに始まるレッドブルの改革 大宮アルディージャは翼を授かるか

平野貴也

J3から来季J2に昇格する大宮アルディージャ。10月から運営会社がRB大宮に代わり、レッドブルグループとしての歩みが始まっている 【平野貴也】

「翼を授ける」のキャッチフレーズを打ち出すレッドブルグループが、日本での活動を公の場で開始した。10月12日、J3に属する大宮アルディージャが、ファンミーティングとメディアギャザリングを実施。レッドブルのサッカー部門を統括するマリオ・ゴメスTD(テクニカルダイレクター)らが出席し、今後の方針などを語った。

 大宮アルディージャは、NTT関東サッカー部を母体として1998年に誕生。NTT東日本が株式を保有するエヌ・ティ・ティ・スポーツコミュニティ社が運営していたが、オーストリアに本社を置くレッドブルに株式を譲渡。Jリーグで初めて外資系企業単独オーナーのクラブとなり、10月からRB大宮という新会社での運営体制となった。レッドブルのスタッフが公の場で今後について話すのは、初めてだった。

新チーム名は「大宮アルディージャ」+「RB」か

マーケティング部門の責任者であるフィリッピ・ブンダリヒ 【平野貴也】

 株式譲渡が発表された8月以降、オーナー変更により、チーム名やチームカラー、エンブレム、活動拠点などがどのように変わっていくのか、注目されている。メディアからは、これらに関する質問が続いたが、発表された情報は少なかった。

 変更点に関しては、マーケティング部門のトップであるフィリップ・ブンダリヒが、質問に回答する形でチーム名に言及し「これまでにいろいろな方々が携わって、大宮アルディージャというチームが作られてきた。アイデンティティ、ファンの皆様の思い、ローカルコミュニティの皆さんのつながり、歴史――そういったものをすべてリスペクトしながら、大宮アルディージャという名前は残したいと、私たちは思っている。グローバルというところを考えた中でRBと付けさせていただいた」とレッドブルグループをイメージさせるRBをチーム名に加えることを示唆した程度。内定情報としての言い方だったが、正式な発表は行わなかった。

2025年は移行期間、5年間での国内トップクラブ飛躍を描く

メディアに向けてビジョンを説明する、レッドブルサッカーのマリオ・ゴメスTD 【平野貴也】

 ほかに、プロジェクターに投影された資料の中に、いくつかの情報があった。来季以降のビジョンに関しては、OUR VISION FOR OMIYAと題した資料の中に「タレントのパイプラインを育成し、ファンの熱狂を産み出し、地域の経済成長と反映を促進するエネルギッシュなサッカークラブへ」と目指す姿が記されていた。また、GROWTH VISION 2030+と題した資料には、2025年を現体制からの移行期間として、その後の3~4年でJ1昇格を目指し、2030年にはタイトルを争い、AFCに参加し、タレントが育成されているといった状況へのステップアップが描かれていた。

 これも、レッドブルのサッカー部門を統括するマリオ・ゴメスTDが質問を受けて「2030年という目標を掲げたが、数字にとらわれ過ぎない方がいいと思っている。サッカーでは、すべてが思ったとおりにはいかない。私自身が(選手としてドイツのバイエルン・ミュンヘンからスペインの)バルセロナに行きたいと言ったときに(イタリアの別クラブである)フィオレンティーナに行ったように、いろいろな変化がある。そこに向かって、地に足をつけながら、継続的にいろいろなことを分析して改善して発展させていく。特に育成も、トップも継続的にやっていくことが大事。(目標達成が)2029年か2031年かもしれないが、そこに向かっていく目安としてやっていく」と説明するに留めた。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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