ファームに新規参加 新潟&静岡が描く未来構想

再びスポットライトの当たる場所を目指す高山俊 新潟の地で心に芽生えた新たな気持ちとは?

中島大輔

南国ではなく新潟でキャンプインを迎えた高山俊の心境とは? 【写真提供:球団提供】

 今季イースタン・リーグに参戦するオイシックス新潟BCには、グラウンド面での見どころが大きく二つある。ドラフト候補たちの活躍と、7月31日の登録期限までに移籍を目指す“元NPB組”の動向だ。とりわけ後者で注目される一人が、2016年セ・リーグ新人王の高山俊。新天地でどのように復活を期すのか。本拠地の新潟で胸の内を聞いた。

見返したい気持ちはもちろんある

阪神戦力外からオイシックス新潟BC入団まで、高山の気持ちにどんな気持ちの変化があったのだろうか? 【写真:スリーライト】

 プロ野球選手になって9年目の今季。元阪神の高山俊は前年までと大きく環境や立場を変え、キャリアの再スタートを切った。

「チームがイースタン・リーグに参戦するというところで、自分の立場もよりわかりやすくなると思います」

 BCリーグからNPBのイースタン・リーグに戦いの場を移すオイシックス新潟BCには、高山をはじめ9人の元NPB選手が入団した(2月22日時点、以下同)。全45選手のうち2割を占める彼らが目指すのは、7月31日が登録期限となるNPB球団への移籍だ。

 プロ野球ファンにとって馴染み深い元NPB組の中で、高山はとりわけ注目を浴びる一人だ。明治大学時代に東京六大学リーグの通算最多安打記録を樹立して2015年ドラフト1位で阪神に入団し、1年目に134 試合に出場して打率.275で新人王を獲得した。

 だが、2年目以降は周囲の期待に応えられなかった。入団4年目の2019年には105試合で打率.269を記録したが、2021年は出場機会ゼロ。翌年は38試合で打率.189に終わり、2023年10月に戦力外通告を告げられた。

「(見返したい気持ち?)もちろんありますね。新人王に執着するとかではなく、ファンの期待してくれている声が多かったなかで、なかなか結果を出せずに申し訳ないっていう気持ちもありましたし。僕のなかでもふがいないなっていう思いもあったので。環境が変わって、バッティングを見つめ直して、もう1回やってやろうという気持ちはやっぱり強いですね」

自分がプロを目指す若い選手たちの物差しに

NPBを目指す若い選手たちと練習することで新たな気持ちが芽生えたという高山 【写真提供:球団提供】

 まだ中堅からベテランに差し掛かる30歳だ。NPBで現役引退の平均年齢は約28歳で、同期や上の年代にはユニフォームを脱ぐ選手も増えているが、高山はキャリアに終止符を打つ気はまるでなかった。

「戦力外になってケガもあるからあきらめざるを得ない選手もいるなかで、自分は大きなケガをしたわけではないし、まだまだやってやろうという気持ちも冷めていないし。去年の年末に地元に帰って、元チームメイトでこの歳まで野球を続けている選手はなかなか少ないなか、そういう人たちの代表としても元気な姿を見せたいと思ったし。技術的にもまだまだやってやろうという気持ちもあるし、という感じですね」

 阪神から2024年シーズンの契約を更新しないと告げられ、合同トライアウトではNPB球団から声がかからなかった一方、オイシックス新潟がオファーをくれた。

 2月1日から本拠地ハードオフエコスタジアム新潟の室内練習場で春季キャンプが始まると、若手選手から打撃について質問されている。特に多いのは技術面だ。セ・リーグで新人王に輝き、打撃センスを評価されてきた高山に、オイシックス新潟のドラフト候補たちは聞きたい話がたくさんあるだろう。

「いろんな選手を見てきたので、聞かれたことは積極的に伝えます。彼らにしたら僕はNPBへの“物差し”になっていると思うけれど、でも僕は戦力外になった身です。現在の話で言うと、僕は“上”で活躍することができなかった選手。もちろん、ここからレベルアップしていきたいですし、物差しにならければいけないというところですね」

 昨年まで独立リーグの球団だった新潟にやって来て、高山には新たな気持ちが芽生えている。その一つがハングリー精神だ。

「ドラフトにかからなかった選手や、僕らみたいに戦力外になった選手など同じ境遇の人たちが集まっているので、目指している方向は一緒です。苦しい経験をした分、今、NPBにいる選手たちよりも強い気持ちはあると思う。そういう若い子たちの気持ちは強いなと思いますし、彼らの姿を見て僕も学ぶことが多い。そういった気持ちが初心につながっていますし、この環境に感謝しながらやっていきたいです」

 練習では多くのスタッフが手伝ってくれた阪神時代と異なり、選手同士で助け合わなければならない。去年までの“当たり前”が、今は異なるものになった。そうした変化に身を置き、「自分でなんとかうまくなれるように」と模索している。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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