データで見る12球団の若手有望株パ・リーグ編 由伸の穴を埋めるオリックス期待の逸材は?

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昨季は高卒1年目で一軍デビューを果たした齋藤響介。大先輩・山本由伸のような成長曲線を描けるか 【写真は共同】

 春季キャンプが始まり、いよいよ幕を開けた2024年のプロ野球シーズン。徐々に紅白戦や練習試合など実戦の機会が増えてきた。ルーキーや外国人選手といった新戦力が話題の中心となることも多い時期ではあるが、チームがリーグ優勝を目指す上では若手の成長や台頭が必要不可欠である。本コラムではこれから本格化する対外試合を前に、昨季の二軍成績から今季の飛躍が期待される若手を中心に取り上げる。

※本文は2024年2月6日時点の情報をもとに執筆
※選手年齢は2024年12月31日時点
※表中の平均球速はストレートの球速、および単位はkm/h

若手投手が着々と力をつける日本ハム

日本ハム:2023年二軍投手成績 【データスタジアム株式会社】

 5年連続Bクラスと低迷が続く日本ハムだが、若手投手の有望株が着々と力をつけている。その中でも、先発ローテーション入りが見込まれるのが金村尚真と根本悠楓だ。昨季は右肩痛による離脱があった金村だが、奪三振率や与四球率などの項目で優秀な成績をマーク。完成度の高いピッチングで、一軍でもプロ初勝利を含む2勝を挙げた。コンディションが万全であれば、年間を通した活躍も期待できるだろう。根本は昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップで若手中心の侍ジャパンに選出され、計5イニングを無失点と躍動した。二軍でも実績を重ねており、高卒4年目の今季は開幕ローテーション入りが期待される。

 また、育成選手には球威に優れる投手が複数在籍している。身長191センチの柳川大晟は前年から平均球速が約3キロ向上し、少ない出番ながら圧倒的な成績を残した。ストレートの奪空振り率はイースタン・リーグでトップクラスの数字を残しており、コンディションに問題がなければ支配下登録、さらには勝ちパターン入りも見えてくるだろう。福島蓮は柳川と同期で190センチの長身右腕。ストレートとフォークのコンビネーションで優れた奪三振能力を示している。このほか、47イニングを投げて49個の三振を奪った松本遼大なども控える。昨季は育成から支配下登録を勝ち取った投手は現れなかったが、今季は例年以上に支配下枠をめぐる競争の激化が予想される。

日本ハム:2023年二軍野手成績 【データスタジアム株式会社】

 一方の野手陣では、奈良間大己が1年目から打率.333、OPS.848と優れた成績を残した。後半戦は一軍でもスタメン出場を増やしており、チームのウイークポイントである二遊間のレギュラー候補として期待される。同じく内野の定位置を争う細川凌平は、前年のOPS.410から同.773へと打撃成績を大きく伸ばした。3本塁打を放つなど長打力が向上したほか、ボールゾーンの見極めでも大幅な改善を見せている。内外野を問わず守れるユーティリティー性も売りとしており、将来的にはソフトバンクの牧原大成のようなマルチプレーヤーを目指したい。

 最後に、投打二刀流の矢澤宏太を取り上げる。故障の影響で出場機会は限定的だったが、打者としては平均を上回るOPSを記録。特に長打力で強みを発揮しており、フライ性の打球が多いのが特徴だ。173センチと体格は小柄だが、その打撃スタイルはスラッガータイプといえる。

「和製ランディ・ジョンソン」が見せる抜群の球威

西武:2023年二軍投手成績 【データスタジアム株式会社】

 昨年のドラフトでは指名した13人のうち9人がピッチャーと、積極的な投手補強を行った西武。二軍を中心に過ごした若手の中では、昨年7月に支配下昇格をつかんだ豆田泰志に注目だ。ストレートとフォークのコンビネーションで卓越した奪三振能力を見せ、一軍でも16試合の登板で防御率0.59をマークした。今季は開幕からフル回転の働きが期待される。また、3年目を迎える羽田慎之介はポテンシャルの高さを評価される投手の1人だ。「和製ランディ・ジョンソン」と称される大型サウスポーで、平均球速は148キロ台を計測。被打率.160を記録するなど、抜群の球威を披露している。

 羽田と同期でサウスポーの共通点もある菅井信也は、先発としてまずまずの成績を残した。キレのあるストレートが武器なだけに、今後スピードが上がってくると面白い存在になりそうだ。最後に、6年目を迎える渡邉勇太朗を取り上げる。二軍では先発として登板を重ねるも、盤石な一軍の先発陣に割って入ることができていない。空振りがなかなか奪えないことやボールゾーンでスイングを誘えないところが現在の課題となっている。今季は変化球のクオリティーを高め、殻を破りたいところだ。

西武:2023年二軍野手成績 【データスタジアム株式会社】

 野手では、チームで手薄な外野の定位置を狙う若手が実力の片りんを見せている。2022年のドラフト1位・蛭間拓哉は打率.298、OPS.827の好成績をマーク。シーズン終盤には一軍でクリーンアップとして起用されるなど首脳陣の期待は大きく、2年目の今季はレギュラーの座をつかみたいところ。蛭間とともに定位置を争うのが、左右の同学年スラッガーだ。長谷川信哉は打率.332、8本塁打と好成績をマーク。52試合の出場で18盗塁を記録した脚力も持ち味としている。一軍では自身初のサヨナラアーチを放つなど、要所で持ち前のパンチ力を発揮した。今季は一軍のレベルに適応を見せ、定位置を勝ち取りたい。そして、山村崇嘉は二軍で前年を上回る打撃成績を記録すると、10月には一軍でプロ初アーチを含む2試合連続本塁打と猛アピールを見せた。今季は外野にも挑戦する意向を口にしているが、左の強打者としてブレークを果たせるか。

 最後に、ポスト源田壮亮として期待される滝澤夏央を紹介する。ショートの守備指標ではイースタン・リーグでトップクラスの数値を記録しており、広大な守備範囲が特徴だ。身長164センチと小柄な体格ということもあり、打撃では長打力が不足しているが、四球を獲得する能力は光るものを見せている。バッティングを磨き、源田のポジションを脅かす存在になりたい。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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