カーリング日本選手権で連覇を達成したSC軽井沢クラブ 強さの理由と、良きライバルの存在

竹田聡一郎

SC軽井沢クラブ。左から小泉、山本、山口、栁澤、西室雄二コーチ 【(C)JCA IDE】

年間90試合超えで場慣れした強さを会得

 第40回全農日本カーリング選手権大会の男子はSC軽井沢クラブが連覇を達成し、クラブとして通算10回目の優勝を飾った。

「この1年間、海外遠征やいろいろな経験をしてきてその成果を出せた」(スキップ栁澤李空)

「今シーズンの目標は世界へのチャレンジだったので、通過点の日本選手権を勝ってすごく嬉しい」(サード山口剛史)

「4年後のミラノ(・コルティナダンペツィオ)オリンピックに向けて大事な一戦。勝たないといけない大会でしっかり勝つことができた」(セカンド山本遵)

「コミュニケーションや粘り強さがしっかり発揮できた」(リード小泉聡)

 金メダルを首にさげて臨んだ優勝会見で、メンバーはそれぞれ喜びを語った。

 北京五輪の代表選考も兼ねた2021年の日本選手権敗退後、栁澤をスキップに据えて再出発を切った。

 セカンドの山本をベテランの小泉、山口で挟む形のオーダーを採り、最若手の爆発的な成長を促した。より多くのアイスを求め積極的に海外遠征を敢行し、今季だけで日本代表として挑んだパンコンチネンタル杯を含め12の大会に参戦。今季の男子チーム最多となる3勝を挙げた。

 惜しくも準優勝に終わったKiT CURLING CLUBの平田洸介は「場慣れした強さを感じた」と勝者を称えたように、ハウス内の形が悪くても致命的なミスは犯さずに最小失点で済ます、あるいは後攻でしっかり得点するというゲームが増えた。

 また、9歳年下の栁澤について「作戦面の引き出しが増えていたように思う」と平田は語ったが、その点に関しては男子のナショナルコーチ、ボブ・アーセルも同調する。4位に甘じんたパンコンチネンタル杯こそ「まだ若いチームの挑戦だし、少しナーバスになっている時期もあった」と感じていたが、「シーズン中盤以降はゲームを支配するような能力がついてきた。プレッシャーを受けてもしっかり考えてショットを組み立てるようになった。きっともっと良くなる。世界のグレートプレーヤーの仲間入りができるかもしれない」と、そのポテンシャルに太鼓判を押した。挑戦者から王者に脱皮するような連覇だったのではないか。

1/2ページ

著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント