カーリング女子、世界ジュニア優勝メンバーの若手有望選手が軽井沢から北海道銀行へ電撃加入!

竹田聡一郎

今夏の北海道ツアーでは高いセットアップ能力を見せた山本冴選手(中央) 【(C)AGCC2022】

新戦力は世界ジュニア優勝メンバー

 北海道銀行女子カーリング部は17日午後「北海道銀行リラーズへの新選手加入について」というリリースを配信し、新加入の選手を伝えた。

 新加入選手とは山本冴だ。5月にスウェーデン・ヨンショーピングで行われた世界ジュニア選手権で日本カーリング史上初めて国際大会での金メダルを獲得した、次世代を担うトップカーラーのひとりだ。本人は「札幌での新たなチャレンジに胸を躍らせています」と心持ちを示し「世界一」を目標に掲げたが、当然、彼女への期待は大きい。

 北海道銀行は昨季、伊藤彩未ー中島未琴ー仁平美来ー田畑百葉というオーダーで日本選手権で3位に入賞している。今季も仁平ー田畑のバックエンドを軸に過ごしているが、リードスキップをこなしてきた山本に対し「彼女が入ってくれたことで作戦面で田畑が迷った時に、違うオプションやアイデアがもらえるのは大きなプラス」と佐藤浩コーチは戦術の広がりについて言及した。チーム最年長となり、ハウス内での経験が豊富な新戦力には戦術支援、安定したセットアップ、適切で力強いスイープなどの役割が求められるだろう。

若年層選手の地域間往来がカーリング界の底上げに

 チームは12月上旬に北見市常呂町で日本選手権の地方ブロック予選も兼ねる北海道選手権を迎えるが、リリースにもある通り山本は今季、ワールドユニバーシティゲームズの日本代表候補選手でもある。スケジュール的にはユニバー代表の活動を優先させるため北海道選手権には帯同せず、12月中旬に軽井沢で開催される軽井沢国際から本格的にチームに合流し活動を共にする予定だ。

 年が明けると山本は1月に米ニューヨーク州レイク・プラシッドで開催されるワールドユニバーシティゲームズに出場。帰国後、北海道選手権でチームが日本選手権出場枠を獲得していれば、日本選手権で再合流というタイトなスケジュールだが、彼女の経験値は平均年齢20歳という若いチームの伸び代に直結するのが理想だ。

 また、山本は10代半ばでは中部電力の中嶋星奈や鈴木みのりといった軽井沢生まれのトップ選手とプレーしてきた。田畑や仁平や中島は札幌で、伊藤は青森でカーリング選手としてそれぞれ育ってきたが、そこに軽井沢という新しい刺激が入るのはチームの風通しという面でもポジィティブだ。

 過去には藤澤五月(ロコ・ソラーレ)や清水徹郎(コンサドーレ)、松村雄太(TMKaruizawa)といった国内トップ選手が新天地を求め、そこで結果を残してきた。同じようにジュニア世代から選手が各地を行き来し、履歴を作り、交流する機会を増やすという意味でも日本のカーリングにとって大きなステップとなるだろう。

 まずは今季、ワールドユニバーシアードゲーム、日本選手権と続く大舞台で自身がブースターとして機能し、それぞれのチームに良い結果をもたらしたい。

山本冴(やまもと・さえ)

2001年5月2日生まれ、長野県佐久市出身。長野県による冬季スポーツの次世代タレントを発掘する事業「SWANプロジェクト」の第3期生として10歳でカーリングをはじめる。SC軽井沢クラブJr.ではリードスキップとして日本ジュニア選手権を制するなど世代を代表するカーラーのひとりとなった。2022年には世界ジュニア選手権で日本カーリング史上初の金メダル獲得。日本女子大学家政学部通信教育課程所属。趣味は刺繍と裁縫。
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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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