新興校が掲げる「甲子園の先にある挑戦」 合理的な取り組みで、真のアスリートへ
わずか50分間の練習時間にもかかわらず、昨年にはプロ入り選手を生んだ武田高校。その取り組みを掘り下げる 【中島大輔】
広島県にある私立武田高校硬式野球部は6月9日、冒頭の一文で始まるツイートを投稿した。意味深長な文章は続く。
「高校野球を超える事がzebrasにできるだろうか。スポーツの価値を世の中に提示する事ができるだろうか。無理だろ。と言われてきた挑戦にこそストーリーがありドラマがある。この夏はそんな大会にしたい。」(以上、原文ママ)
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「一人でやろうとした」監督が変わったきっかけ
岡嵜雄介監督(写真)は健大高崎・青柳監督にかけられた言葉で自らの方針を変えたという 【中島大輔】
「練習時間の長さで語られたら、スポーツは発展しないと思います。『長く練習すればいい』という考え方を超えたい」
そう言うと、岡嵜雄介監督は屈託のない笑みを浮かべた。
「僕らが勝ったり、良い選手を出したりすると、周りの人がスポーツに対して考えるきっかけになると思うんです。良いも、悪いも含めて。アスリートとして極めていくなかに甲子園がある。それが僕らの考え方です」
現在、3学年で75人の部員が在籍する武田には、8人の指導者が常駐する。外部スタッフを含めれば合計15人。これほど指導者に恵まれた環境は、日本の高校にはなかなかない。
「最初は全部一人でやろうと思っていました」
2015年に就任した当初、岡嵜監督はそう考えていた。当時の部員は2学年で18人しかいなかった。
方針を変えるきっかけは翌年、広島県高野連の監督会の派遣事業で高崎健康福祉大学高崎(健大高崎)高校を訪れたことだ。
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