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縦に並んだらアエロリット
「競馬巴投げ!第170回」1万円馬券勝負

京急蒲田駅の二階建てプラットホームに面食らう

[写真1]スワーヴリチャード
[写真1]スワーヴリチャード【写真:乗峯栄一】

 ダービーだけはだいたい東上していて、この日ぐらいしか会えない関東人(関西出身の人間が多いのだが)とダービーの後、飲まないといけないし、安ホテルを探して、月曜の夜帰ってくるというのが例年のパターンになっている。


 もう20年ぐらい続いているパターンだから、府中競馬場あたりは大方分かる。昔はダービー翌日に知り合いの編集者のいる出版社巡りをして「原稿? わざわざ持って来なくても郵送でよかったのに。そこ置いといて」とカウンターを指差されて、うな垂れて帰っていたので、主たる文芸出版社の周辺、および、その文芸誌編集部のカウンターの構造についてもよく分かっている。


 しかし、今回は何回か失敗してしまった。もう出版社巡りはやめたのだが、大きな無駄を何回かやってしまった。


 当日の朝、伊丹発午前8時の飛行機で羽田に行き、JR川崎から南武線で府中に向かう行程だ。関西人が言うのも何だが、慣れた道筋だ。10時にJR川崎の改札で二人の友人と待ち合わせているが、9時過ぎには京急羽田空港発に乗ったから余裕だ。余裕だと思った。


 京急蒲田に着いたのが9時20分頃、この電車は品川方面に向かうやつだから、蒲田で横浜方面行きに乗り換える。それも十分分かっている。ただ、前からそうだったのか、最近変わったのかよく分からないが、京急蒲田駅は二階建てになっていて、階ごとに行く先が違う。大阪にはこういう駅はない。昔からの駅がだいたいそうなように、路線が違うときは、プラットホームが1番ホーム、2番ホーム、3番ホームと平面上に並んで、客が階段を上がったり、地下道を通ったりして横のホームに移動する。一階のホームと二階のホームで行き先が違うという駅には面喰らう。

「羽田空港行き特急です」「え?」

[写真2]ペルシアンナイト
[写真2]ペルシアンナイト【写真:乗峯栄一】

 もちろん、分からないときには駅員に聞く。基本だ。


「川崎方面はどこから乗ればいいんですか?」と言うと、若い駅員、無愛想に「上へ行って」と階段を指差す。なるほど。普通は「隣の3番ホームに行って」とか言うものだが、京急蒲田はホームが上下二段になってるから「上へ行って」とかになるんだ。品川方面は下の階、横浜方面は上の階になってるんだ、やっぱり東京は違うなあなどと呟きながら、階段上がっていくと「特急電車、まもなく発車します」と言っている。「えらいことや」と閉まりつつあるドアに腕を差し込んでこじ開け、やっと乗れたと安堵していると「羽田空港行き特急です。次は羽田国際線ターミナルです」と車内アナウンスが流れる。


「え?」と思ったが、もう遅い。


 各駅停車でやっと京急蒲田に着いたと思ったら、今度は特急電車で羽田空港まで送り返してくれるというのだ。


 だいたい「横浜方面はどこで乗るんですか?」と聞く人間は、京急蒲田に不案内な人間に決まってるんだから「上に行って」とか無愛想に言うんじゃなくて、もっと懇切丁寧に「上の階に行ってください。ただ上の階は羽田行き特急も通りますから間違わないようにして」と、そこまで言ったらどうなんだ、ほんとに。


 国際線ターミナル駅で降りて、また反対側の蒲田方面ホームに行かないといけないんだけど、一度改札を出ないといけないし、エスカレーター乗ったら、隣のホームに行くんじゃなくて、外国行き飛行機に乗るための出国審査所に通じる所へ出てしまった。羽田に降りて川崎に行きたいのに、何が悲しくて、羽田から香港なんか行かなきゃいけないんだ。


 余裕で待ち合わせ場所に行く予定が30分も遅刻してしまった。くっそー、あの京急蒲田の駅員め。

乗峯栄一
乗峯栄一
 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

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