四大陸選手権Vのりくりゅう「このメダルは、5年間の成長の証」 2020年大会と同会場で手にした栄冠

沢田聡子

フリーで反対を向いてフィニッシュし、笑うりくりゅう 【写真は共同】

ラストポーズの向きを間違えて爆笑

 複雑な男女関係を表現するフリー『Adios』のラストポーズをクールに決めた三浦璃来と木原龍一は、表情を一転させて笑い始めた。

「私たち、すごく格好よく最後のポーズを決めていたんですけど、コーチと目が合ってしまっていて、『あれ?反対じゃん』って言って(笑)」(三浦)

 三浦/木原は、四大陸選手権(2月20~23日、韓国・ソウル)で2年ぶりの優勝を果たした。記者会見で、フィニッシュポーズの向きが反対になったのは、その直前に滑ったコレオシークエンスに思い入れがあったからなのかという主旨の質問を受け、木原は次のように答えている。

「今回は、メーガン(・デュハメル)コーチが帯同して下さっていました。普段からメーガンコーチには、『コレオシークエンスでは、とにかくパフォーマンスをしなさい。疲れているときでもしっかりパフォーマンスをしなさい』と常に言われていたので、メーガンコーチの前でしっかりやろうと思って。

 最後のターンの部分を、いつも以上に力を入れて回ったんですけど、速く回り過ぎてしまって。どっちを向いているのかちょっと分からなくなってしまったのが、失敗の原因だったかなと。本来だったら最後はジャッジの方を見て終わるはずなんですけど、何故かメーガンコーチ、ブルーノ(・マルコット)コーチと目が合ってしまって、『あれ?これ反対だよな』と思いました」

 5年前、同じ木洞アイスリンクで行われた四大陸選手権にも、今大会同様ブルーノコーチとその妻であるメーガンコーチが帯同していた。このとき、2019年8月のペア結成から約半年しか経っていなかった三浦/木原は、8位という成績だった。

 その後2人は2022年北京五輪に出場、団体の銀メダル獲得に貢献した。さらに同年の世界選手権で銀メダルを獲得すると、翌季はグランプリファイナル・四大陸選手権・世界選手権を制し年間グランドスラムを達成。初出場だった2020年四大陸選手権から5年を経た今、2人は世界トップクラスのチームとして、再び木洞アイスリンクに戻ってきた。

 三浦は、今大会に新しい衣装で臨むことを、自身のSNSで明らかにしていた。昨年12月に行われたグランプリファイナルの練習中に左肩を亜脱臼し、コンディションによってはテーピングが必要になるため、そうなった場合に対応しやすいよう、袖なしの衣装に変更したのだ。三浦は左肩を2022年7月にアイスショーで脱臼、その後2024年世界選手権でも再亜脱臼しており、古傷の再発が心配された。しかし、今大会についてはコンディションに問題はなく、テーピングはしていなかったという。

 ショートプログラムで最終滑走者として登場した2人は、ほぼ完璧な演技をみせる。4分の1回転不足と判定されたソロジャンプの3回転トウループを除き、すべての要素で加点を得る出来栄えで、ダークな雰囲気の『黒くぬれ』を力強く滑り切った。スコアは74.73で、ショート首位でフリーに臨むことになった。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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