山下美夢有はメダル到達まで1打差に泣く 五輪ゴルフ開催の価値を田島創志が総括

田中凌平

山下は3位に1打差の4位タイに終わり、涙に暮れた。終盤までメダル圏内にいただけに、悔しい結果となった 【写真は共同】

 パリ五輪の女子ゴルフが「ル・ゴルフ・ナショナル」で行われ、現地時間8月10日に最終ラウンドを迎えた。日本勢は山下美夢有(加賀電子)と笹生優花(アース製薬)が出場。五輪初出場の山下はトータル6アンダーで3位に1打及ばず4位タイ、2度目の五輪となった笹生はトータル17オーバーで54位だった。優勝はトータル10アンダーのリディア・コー(ニュージーランド)で、リオデジャネイロ五輪での銀メダル、東京五輪での銅メダルに続く3大会連続でのメダル獲得となった。

 女子ゴルフ最終日、首位と2打差の3位タイからスタートした山下は、2番ホールでバーディーを奪うも、6番ホールと7番ホールで連続ボギーとスコアを落とす。8番のショートホールのバーディーで巻き返しを図るも、9番ホールで痛恨のダブルボギー。後半は14番ホール、15番ホールで連続バーディーをとったが、続く16番ホールの第1打がまさかの池に。ここでのダブルボギーが響き、メダル獲得にあと一歩及ばなかった。

 日本には見られないリンクス(地形を活かした、人の手があまり加えられていないコース)で行われた今大会。マネジメント力が試されるコースセッティングだっただけに、各選手の攻め方やショットの精度が勝敗を左右した。2000年にプロ転向し、2003年には「久光製薬KBCオーガスタ」を制したプロゴルファーの田島創志さんに、女子ゴルフを振り返ってもらいつつ、ゴルフの奥深さについても語ってもらった。

山下美夢有が随所で披露した高いショット精度

最終日で圧巻のパッティングを見せるなど、山下は大会を通して持ち前のショットの高さを見せた 【写真は共同】

 山下選手はメダル獲得まであと一歩でしたが、今日のパッティングは誰よりも入っていました。18番ホールのイーグルパットは、決めていればプレーオフに持ち込めただけに、いろいろな感情があって難しかったと思います。しかし、全体的に表情を変えずにしっかり打っていて、ミスパットもほぼありませんでした。

 アイアンショットは、ハイブリッドくらいの高さで打てたうえでスピン量を上げられると理想ですが、山下選手はそれを補うくらいの精度の高さを見せてくれました。この日もピンのラインを外しているショットが少なかったですよね。

 9番ホールのダブルボギーは、ネリー・コルダ選手(米国)も同じところでミスをしていました。山下選手の3打目は左足下りのライだったので、上げるのではなく転がす選択肢もあったらダブルボギーを避けられたかもしれません。今大会のようなリンクスのコースが日本にほとんどないので、経験の差が出てしまいましたね。

 16番ホールの第1打は池に入ってしまいましたが、あのショットは山下選手が攻めた結果なのかなと感じました。ピンの左側から山下選手の持ち球で狙うプランだったと思うのですが、結果的に池に入ってしまったので、もしかすると自分の選択に後悔しているかもしれません。惜しい結果にはなりましたが、飛距離が他の選手より劣る中で精度の高いショットで戦う山下選手は素晴らしかったですね。

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著者プロフィール

東京都出身。フリーライター。ラグジュアリーブランドでの5年間の接客経験と英語力を活かし、数多くの著名人や海外アスリートに取材を行う。野球とゴルフを中心にスポーツ領域を幅広く対応。明治大学在学中にはプロゴルフトーナメントの運営に携わり、海外の有名選手もサポートしてきた。野球では国内のみならず、MLBの注目選手を観るために現地へ赴くことも。大学の短期留学中に教授からの指示を守らず、ヤンキー・スタジアムにイチローを観に行って怒られたのはいい思い出。

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