阪神・近本光司、4番を経験したことでの意識変化 スランプを回避する“哲学的思考”に五十嵐亮太も感嘆
4番に起用されて初めてわかったこと
近本 基本的に僕は成績やタイトルにこだわりがなくて、今日の試合、今の状態にフォーカスしています。自分の理想のプレーを意識して、自分のやりたいことを頭で理解しながら取り組んでいました。
五十嵐 4番を任された時もそんなに意識することなく、本来のスタンスのままでプレーしていましたか?
近本 そうですね。「いつも通り」を心掛けてやっていましたが、僕が4番になるということは、それだけ周りが打っていないということ。その中で僕が打たないとチームは勝てない。そこの意識が変わりましたね。これまで「4番の仕事」というものをなんとなくイメージはしていたんですけど、いざ僕が4番になった時に、「自分が思っていたものと違うな」と大きく感じました。
五十嵐 4番となると攻める側も意識が変わります。配球面など相手の変化は感じましたか?
近本 僕はずっと1番だったので、自分が打席に立った時の得点圏のランナーは、9番の投手か7番、8番打者なんです。だいたい2アウトで、ランナー2塁の場面が多い。優勝した年は8番の木浪(聖也)の調子が良かったので、得点圏での打席数や打点も必然的に上がっていきました。でも昨年は1番での打席数も少なかったですし、4番になった時は常にランナーがいるような状況でした。
1番の場合は、得点圏にランナーがいる打席は1試合で1回あればいい方なんです。それが4番になると1、2、3番打者の出塁率が高くなる。「4番ってこれだけプレッシャーがかかるんだな。自分が打たないと点が入らないんだな」と、すごく感じました。逆に4番のプレッシャーを感じたからこそ、1番に戻った時に4番の負担を少なくしたいなと思いました。
五十嵐 負担を少なくするとは、具体的にどうするのですか?
近本 相手投手が打者だけに集中できないようにすることです。ランナーに僕がいたとして、僕のことを気にせずに打者に勝負できるのは不完全な状態です。1 塁、2塁にランナーが埋まっていると、どうしても勝負しないといけません。そういう場面をどれだけ多く作れるかだと思います。僕がただ塁に出るだけではなくて、どうすれば2人ランナーを置くことができるか、また、1アウト3塁の場面をどれだけ作れるかということをすごく考えました。