五十嵐亮太のプロ野球キャンプリポート2025

阪神・近本光司、4番を経験したことでの意識変化 スランプを回避する“哲学的思考”に五十嵐亮太も感嘆

構成:スリーライト

五十嵐亮太さんが阪神の主力3選手にインタビュー。第三弾は近本光司選手 【写真:スリーライト】

 野球評論家の五十嵐亮太さんが阪神・宜野座キャンプを取材し、投打のキーマンである才木浩人投手、大竹耕太郎投手、近本光司選手に直撃インタビュー。三人目は、五十嵐さんが以前から一度話を聞いてみたいと願い続けてきた近本選手だ。昨季はプロ6年目で5度目となる盗塁王のタイトルを獲得したほか、4年連続でベストナインとゴールデングラブ賞を受賞。走攻守でチームをけん引したが、4番を経験したことで自らの役割を再認識したと話す。藤川球児新監督のもとで迎える今季の心境や野球に取り組む意識など、近本選手の考え方について五十嵐さんが深堀した。

4番に起用されて初めてわかったこと

昨年、プロで初めて4番に座った近本。その後、どんな意識の変化があったのだろう 【写真は共同】

五十嵐 近本選手はプロに入ってから常に結果を残し続けています。でも昨年は打順も変わったり、今までとは違ったシーズンだったのではないかと思います。チーム全体が見えてきて、自分の立場も変わってくる中で、どう考えて1年間プレーをしましたか?

近本 基本的に僕は成績やタイトルにこだわりがなくて、今日の試合、今の状態にフォーカスしています。自分の理想のプレーを意識して、自分のやりたいことを頭で理解しながら取り組んでいました。

五十嵐 4番を任された時もそんなに意識することなく、本来のスタンスのままでプレーしていましたか?

近本 そうですね。「いつも通り」を心掛けてやっていましたが、僕が4番になるということは、それだけ周りが打っていないということ。その中で僕が打たないとチームは勝てない。そこの意識が変わりましたね。これまで「4番の仕事」というものをなんとなくイメージはしていたんですけど、いざ僕が4番になった時に、「自分が思っていたものと違うな」と大きく感じました。

五十嵐 4番となると攻める側も意識が変わります。配球面など相手の変化は感じましたか?

近本 僕はずっと1番だったので、自分が打席に立った時の得点圏のランナーは、9番の投手か7番、8番打者なんです。だいたい2アウトで、ランナー2塁の場面が多い。優勝した年は8番の木浪(聖也)の調子が良かったので、得点圏での打席数や打点も必然的に上がっていきました。でも昨年は1番での打席数も少なかったですし、4番になった時は常にランナーがいるような状況でした。

 1番の場合は、得点圏にランナーがいる打席は1試合で1回あればいい方なんです。それが4番になると1、2、3番打者の出塁率が高くなる。「4番ってこれだけプレッシャーがかかるんだな。自分が打たないと点が入らないんだな」と、すごく感じました。逆に4番のプレッシャーを感じたからこそ、1番に戻った時に4番の負担を少なくしたいなと思いました。

五十嵐 負担を少なくするとは、具体的にどうするのですか?

近本 相手投手が打者だけに集中できないようにすることです。ランナーに僕がいたとして、僕のことを気にせずに打者に勝負できるのは不完全な状態です。1 塁、2塁にランナーが埋まっていると、どうしても勝負しないといけません。そういう場面をどれだけ多く作れるかだと思います。僕がただ塁に出るだけではなくて、どうすれば2人ランナーを置くことができるか、また、1アウト3塁の場面をどれだけ作れるかということをすごく考えました。

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