山下美夢有はメダル到達まで1打差に泣く 五輪ゴルフ開催の価値を田島創志が総括
体格に恵まれた選手がゴルフを選ぶ時代に
コー(中央)が3大会連続でメダルを獲得した。五輪では経験値やパワーが戦局を有利に進めるうえでは非常に重要になる 【Photo by Andrew Redington/Getty Images】
2位のエスター・ヘンゼライト選手(ドイツ)は身長が高く、飛距離が出てパワーのあるゴルフをしていました。それだけでなくボールを操る技術のレベルが高かったので、なかなか日本にはいないタイプの選手です。その分、より印象に残る選手でした。
3位の林希妤(リンシユー/中国)選手もパワーがある選手でしたが、近年はアジアから林選手にように体格に恵まれた選手がどんどん出てきている印象があります。今回も日本や中国、韓国、タイなど多くのアジアの選手が出場していますし、ファーストスポーツとしてそうした運動能力においてポテンシャルの高い人がゴルフを選んでくれることを嬉しく感じました。
日本では宮里藍さんが活躍してから、渋野日向子選手(サントリー)ら世界で戦える選手が続々と出てきています。今回の五輪をきっかけに、ゴルフをファーストスポーツとして選んでもらえる可能性もあるので、今後が楽しみです。もちろん女子だけでなく、パリ五輪での松山英樹選手(LEXUS)の活躍を見て男子ゴルフも盛り上がってくれると感じています。
ゴルフの奥深さは“コースとの戦い”にある
リンクスのコースだった今大会は、女子においては攻め方のマネジメントが結果を左右した 【写真は共同】
今のゴルフ中継は弾道などが見える表示がされていて、以前よりも面白さが増しています。それだけに、コースの設計に対して選手がどう戦っているのかが分かると、より観戦が楽しくなります。
特に今回の男子と女子は同じコースでしたが、まったく違うセッティングでした。男子はパワーと球を意図的に曲げていく精度が求められる一方で、女子は攻め方のマネジメントが求められる印象を受けました。今大会の笹生選手は結果が奮わなかったですが、アグレッシブさが少し空回りしてしまったのかもしれません。このように、トップ選手でもコースセッティングによってプレーに大きな影響が及びます。
本当にゴルフは奥が深く、他の競技と比べてもなかなか上達しにくいスポーツだと感じています。ゴルフは本当に素晴らしいスポーツなので、私も解説をする時はゴルフの面白さが多くの人に伝わるように、丁寧に掘り下げて伝えていきたいと思います。
田島創志(たじま・そうし)
【株式会社 ダンロップスポーツエンタープライズ】