東京で逃したメダルを――。バドミントン「ナガマツ」ペアが2大会連続五輪へ

平野貴也

「ナガマツ」ペアが2大会連続の五輪出場を確実にしている 【平野貴也】

 東京で取り逃した五輪のメダルを、パリへ取りに行く――。最後まで競った日本代表の2番手争いを制したのは、長身ペアの「ナガマツ」だった。バドミントン女子ダブルスの松本麻佑/永原和可那(北都銀行)が、パリ五輪の出場権獲得を確実にした。

 出場権獲得レースの最終戦となるアジア選手権の1回戦で、日本勢3番手の福島由紀/廣田彩花(岐阜ブルヴィック)が敗退。五輪でレースランキング8位以内を確実にしていた松本/永原の「ナガマツ」ペアの日本勢2番手が確定する。松本/永原は、ベスト8で敗退したが、五輪出場の条件を満たした。

 パリ五輪のバドミントン競技は、各種目とも同国からの出場が最大で2枠。女子ダブルスでは、大会開幕時点で五輪レースランク3位の志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)が、すでに日本勢1番手での五輪出場を確実にしている。そして松本/永原と福島/廣田が、2枠目を最後まで争った。レース終盤の年明けに順位を逆転した「ナガマツ」ペアが2枚目の切符を手に入れた。

最後まで争ったライバル、松本「フクヒロのためにも、一緒に背負って」

最後まで切符を争った「フクヒロ」ペア(写真)への思いを胸に、五輪へ臨む 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 最後まで切符を争った2組は、世界の頂点を争ったライバルだ。彼女たちは2016年リオデジャネイロ五輪の金メダリスト、高橋礼華/松友美佐紀を追う次世代のペアとして台頭。年齢で上回る福島/廣田の「フクヒロ」ペアが先に国際大会で上位に入り、世界ランク1位に長く君臨した。2018年と19年の世界選手権は、2組が2年連続で決勝を戦い、松本/永原が連覇。前回の東京五輪に出場した2組でもある。

 福島/廣田は、23年12月に廣田が右ひざ前十字じん帯を断裂。強行出場でレースを戦い抜いたが、本領は発揮できずに終わった。

 松本は「フクヒロペアとは、東京オリンピック以前から一緒に戦ってきました。ケガも2度見てきて(それに関しては)すごく、自分たちも悔しい気持ち。(負傷した廣田が手術をせず)最後まで戦うと決断してくれたことは、自分たち的にもすごく嬉しかったです。この大会もそうですけど、五輪でも、フクヒロのためにも、一緒に背負って戦っていければと思います」とレースを戦ったライバルへの思いを語る。

緊張に縛られた東京五輪、勝利寸前から敗れた悔しさ

 ハイレベルな出場権争いは終わった。大きな可能性を持ちながら、力を発揮し切れなかった悔しい舞台に再挑戦する。「ナガマツ」ペアは、21年の東京五輪に世界ランク2位、優勝候補の一角として出場した。しかし、メダルが見えて来た準々決勝で、道は途絶えた。

 最初のラリーで相手を崩し、ネット前に高く上がって来た球を、松本は打ち下ろした。それがネットに引っかけるという、考えにくいほどのイージーミス。強い緊張感が見てとれた。無観客だが自国開催。応援のない中でプレッシャーと戦っていた。

 本領発揮には程遠かったが、底力を示し、最終ゲームで20-18のマッチポイントを迎えた。しかしまさかの逆転負け。永原は「前回は、いろいろなことが初めての経験で、自分たちのパフォーマンスができなかったことが、すごく悔しかった。ここまでやってきて、もう1回その舞台に立てるのに、同じことは繰り返したくないという気持ちが一番強い」と五輪再挑戦にかける強い意気込みを示す。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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