常勝軍団復活を目論むソフトバンク 充実の救援陣が強み、課題のスターターを整備できるか?

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今季FAで加入した山川ら、今季も積極的な補強に動いたソフトバンク。常勝軍団復活のピースはそろいつつあるか 【写真は共同】

 いよいよシーズン開幕が目前となったプロ野球。1934年の日本プロ野球誕生から90周年のメモリアルイヤーとなる今季、覇権を奪うのはどのチームになるだろうか。春季キャンプ、練習試合を含めた実戦を経て、各チームとも一軍メンバーが固まりつつあるが、もちろん1年間を戦うには開幕一軍入りを逃した選手の存在や若手の突き上げも必要不可欠だ。そこで今回のコラムでは各チームの昨季の「ポジション別得失点貢献」をもとに、新シーズンを戦ううえでのポイントや展望を確認していきたい。貢献度に使用する選手評価は、野手の打撃をwRAA(Weighted Runs Above Average)、守備にはUZR(Ultimate Zone Rating)。投手はRSAA(Runs Saved Above Average)を用いている。いずれもリーグ内の平均的な選手と比較して、打撃・守備・投球でどれだけ得失点に貢献しているかを示した指標であり、本稿ではそれぞれ同一ポジションの平均的な選手と比較している。なお、RSAAの計算式で使用される失点率は実際のものではなく、守備の影響を排除したtRA(True Run Average)を使用している。

 今回、評価に活用した2つの指標(wRAA、RSAA)は、スポーツナビがプロ野球の週間MVPを選出する企画でも活用しており、指標の解説を以下リンクから確認できる。

※本文は2024年3月17日時点の情報をもとに執筆。

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課題を残した先発ローテーション

ソフトバンク投手:2023年得点貢献度 【データスタジアム株式会社】

 昨季、先発投手陣のRSAAがリーグワーストの-30.7を記録したソフトバンク。規定投球回に到達した投手がゼロに終わるなど、先発ローテーションの整備が必須の状況となっている。その中でまず期待されるのが、開幕投手に指名されている有原航平だろう。移籍1年目の昨季は防御率2.31、チームトップの10勝と好成績をマークしており、今季もローテーションの中核を担う存在だ。また、ベテラン左腕の和田毅は4月2日に行われるホーム開幕戦の先発に内定。有原とともに先発陣をけん引する働きを期待される。

 残りのローテーションの枠は競争となる中、小久保裕紀監督はリリーフとしてNPB通算306登板の実績を持つモイネロ、ルーキーイヤーから46試合に登板した大津亮介を先発に配置転換した。大津は3月14日のオープン戦で6回無失点8奪三振、モイネロもオープン戦で2試合に先発して好投を見せており、それぞれ先発投手としての適性を示している。自身初の開幕ローテーション入りを狙うのは、昨季来日初勝利を含む3勝をマークしたスチュワート・ジュニア。ここまでの実戦は持ち前の力強いボールを武器にアピールを続けている。このほか、昨季の開幕投手を務めた大関友久やベテラン右腕の東浜巨、板東湧梧などもオープン戦で好投を続けている。大津とモイネロの配置転換組が好調ということもあり、開幕は先発ローテーションが充実した状況で臨めそうだ。

オスナを筆頭に強力勝ちパターンは健在

リーグトップの数値を残したリリーフ陣。守護神として試合を締めるオスナら、強力な勝ちパターンは今季も強みになりそうだ 【写真は共同】

 一方、先発とは対照的にリーグトップのRSAAを記録していた救援陣。前述したモイネロと大津の先発転向に加え、昨季46登板の甲斐野央が移籍するなど戦力の低下が懸念されるが、リリーフ陣の層は依然として厚い。守護神に君臨するオスナとはオフに4年契約を締結。昨季49試合に登板し、防御率0.92と打者を圧倒した右腕が今季も最終回を締めくくる。オスナにバトンをつなぐセットアッパーとして期待されるのが松本裕樹と藤井皓哉だ。松本裕は昨季チームトップの25ホールドを挙げており、藤井も2022年に55試合に登板して防御率1.12、被打率0割台と支配的な投球を見せた実績がある。

 変則的な投球フォームのリリーバーが多いのも特徴で、サイドハンドの又吉克樹は後半戦の26登板で防御率1.57をマーク。移籍3年目の今季は開幕からフル回転の働きが期待されるほか、同じく右サイドハンドの津森宥紀、サウスポーのヘルナンデスは剛速球を持ち味としている。また、ここまでのオープン戦では、昨季一軍未登板の杉山一樹や日本ハムから現役ドラフトで加入した長谷川威展、ドラフト2位ルーキーの岩井俊介らが好投を続けており、新戦力が台頭しつつある。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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