常勝軍団復活を目論むソフトバンク 充実の救援陣が強み、課題のスターターを整備できるか?

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甲斐拓也に続く存在が待たれるキャッチャー陣

ソフトバンク野手:2023年ポジション別得点貢献度 【データスタジアム株式会社】

 昨季は主に甲斐がスタメンマスクをかぶり、2年ぶりの2ケタ本塁打をマーク。チームの捕手はリーグ平均レベルの活躍を見せた。正捕手の甲斐はここまでのオープン戦で打撃では2本塁打を放ち、守備では課題とされていたフレーミングのスキルに大幅な改善が見られるなど、扇の要としてさらなる活躍を予感させる調整ぶりだ。

 一方で、チームの捕手陣は甲斐に依存した体制となってしまっているため、他の選手の台頭にも期待したいところ。9年目の谷川原健太は近年外野手として出場数を増やしていたものの、今季は捕手一本で勝負することを決めた。このほか、ディフェンスに定評のある海野隆司、移籍2年目の嶺井博希らも定位置争いに加わり、キャッチャー陣全体の底上げを図りたいところだ。

山川穂高の加入で得点力アップを期待

 内野の得点貢献度では、一塁と遊撃のマイナスが目立った。ファーストのポジションは、主に務めていた中村晃が4年連続となるゴールデングラブ賞に輝くも、チーム全体の得点貢献度は攻撃面、守備面ともにマイナスとなっていた。そこを補う形で、オフにスラッガーの山川をFAで獲得。ここまでの実戦ではブランクを感じさせないパフォーマンスを見せており、得点力アップをもたらす活躍に期待がかかる。ショートは今宮健太がレギュラーを張るも、得点貢献度は-8.1と低迷。今宮の奮起に加えて新星の台頭も待たれる中、9年目の川瀬晃が同ポジションのレギュラー奪取を狙う。昨季は177イニングでショートの守備に就き、失策数がわずか1と高いディフェンス力を示しているだけに、今季は打撃をレベルアップさせたいところだ。巧打が魅力の牧原大成は今季、ポジションをセカンドに絞って開幕に臨んでいる。昨季セカンドで74試合にスタメン出場した三森大貴に加え、ドラフト3位ルーキーの廣瀨隆太らと定位置争いを続ける見込みだ。

 サードのポジションは、度重なるケガからの復活を目指す栗原陵矢の開幕スタメンが有力視されているものの、2020年のドラフト1位・井上朋也、二軍で4年連続の本塁打王に輝いたリチャードらもアピールを継続。このほか、昨季プロ初本塁打をマークした野村大樹、左坐骨(ざこつ)骨折からの復帰を目指す野村勇らも出場機会をうかがっている。

センターの枠をつかむのは誰か

両翼のポジションは攻撃で大きな貢献度を生み出している。移籍2年目となる近藤は、今季も打線の柱となりそうだ 【写真は共同】

 一方、外野は両翼の得点貢献度で大きなプラスを記録。ともに打撃タイトルを獲得した近藤健介と柳田悠岐の存在が大きく、両選手は今季も強力打線の中軸として活躍が期待される。また、昨オフには巨人からトレードでウォーカーを獲得した。守備面に不安を抱えているため指名打者での起用がメインと考えられるが、豪快なバッティングには大きな期待が寄せられる。オープン戦では12球団トップの3本塁打を放っており、打線にさらなる厚みをもたらしている。

 残るセンターのポジションは、昨季52試合にスタメン出場した牧原大がセカンドに専念する影響もあり、明確なレギュラーは決まっていない。その中で存在感を示しているのが、周東佑京だ。昨季は9、10月度に打率.330をマークし、自身初の月間MVPを獲得。ここまでのオープン戦でもバットで好調ぶりを示しており、リードオフマンの座を射止めたいところだ。その周東に待ったをかけるのが5年目の柳町達。昨季は自己最多の116試合に出場し、出塁率.375と好成績を残した。オフには長打力向上を掲げてトレーニングに励むなど、こちらも虎視眈々(たんたん)とレギュラーの座を狙っている。若手では育成3年目の川村友斗に注目。オープン戦では走攻守に存在感を示しており、支配下登録を十分狙える成績を残している。

小久保新監督は「巨大組織」の強みを生かせるか

 オフには前年に続いて大物選手を獲得するなど、常勝軍団の復活に向けて着々と戦力補強を行ったソフトバンク。近藤、柳田を中心とした打線に山川とウォーカーが加わり、昨季リーグトップの得点数を記録した打線は破壊力を増した。リーグ制覇へのカギを握るのはやはり投手だろう。先発陣は昨季こそ成績面で低迷したものの、開幕投手の有原を筆頭に一軍で実績を誇る投手が名を連ねている。モイネロや大津の先発転向をはじめ、課題であるローテーションの強化に成功すれば、2020年以来となる頂点が見えてくるはずだ。

 また、支配下登録へ猛アピールを続けている川村など、四軍まで保有する巨大組織は育成選手の有望株も多くそろえており、シーズン中の戦力の上乗せも期待される。満を持して一軍の指揮を執る小久保監督の手腕に注目したい。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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