プロ野球12球団戦力分析(2024)

今季こそ悲願のリーグ制覇を目指すDeNA 打線の鍵を握るのは「一塁・オースティン」

データスタジアム株式会社

98年以来のリーグ制覇を目指すDeNA。オープン戦でヒットを量産している度会ら、楽しみな新戦力も多い 【写真は共同】

 いよいよシーズン開幕が目前となったプロ野球。1934年の日本プロ野球誕生から90周年のメモリアルイヤーとなる今季、覇権を奪うのはどのチームになるだろうか。春季キャンプ、練習試合を含めた実戦を経て、各チームとも一軍メンバーが固まりつつあるが、もちろん1年間を戦うには開幕一軍入りを逃した選手の存在や若手の突き上げも必要不可欠だ。そこで今回のコラムでは各チームの昨季の「ポジション別得失点貢献」をもとに、新シーズンを戦ううえでのポイントや展望を確認していきたい。貢献度に使用する選手評価は、野手の打撃をwRAA(Weighted Runs Above Average)、守備にはUZR(Ultimate Zone Rating)。投手はRSAA(Runs Saved Above Average)を用いている。いずれもリーグ内の平均的な選手と比較して、打撃・守備・投球でどれだけ得失点に貢献しているかを示した指標であり、本稿ではそれぞれ同一ポジションの平均的な選手と比較している。なお、RSAAの計算式で使用される失点率は実際のものではなく、守備の影響を排除したtRA(True Run Average)を使用している。

 今回、評価に活用した2つの指標(wRAA、RSAA)は、スポーツナビがプロ野球の週間MVPを選出する企画でも活用しており、指標の解説を以下リンクから確認できる。

※本文は2024年3月17日時点の情報をもとに執筆。

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ローテーションを支えた2投手の穴埋めが重要課題

DeNA投手:2023年得点貢献度 【データスタジアム株式会社】

 昨季は失点抑止の貢献度でリーグ2位の18.0を記録したDeNAの先発陣。最多勝に輝いた東克樹を中心に今季も盤石なローテーションを築きたいところだが、先発投手でチーム2位のRSAAをマークした今永昇太が昨オフにメジャーへ移籍。さらに、2ケタ勝利を挙げたバウアーも自由契約となり、昨季の失点抑止に大きく貢献した2人が抜ける形となった。両投手の穴を埋める選手の台頭が必須といえる中、新戦力でまず期待されるのが助っ人のジャクソンだ。150キロ台の速球と質の高い変化球を武器に、昨季はメジャーで7先発を含む19試合に登板した実績を誇る。ここまでの対外試合では11イニングで1失点と実力を示しており、ローテーションの柱として活躍が期待される。さらに経験豊富な森唯斗、アンダースロー中川颯の移籍組もここまでの実戦で好投を続けている。

 若手ではともに高卒3年目の小園健太、深沢鳳介が猛アピールを見せており、激しいローテーション争いを繰り広げている。このような新戦力に加え、2度の2ケタ勝利を誇る大貫晋一やFA権を行使して残留を決めた石田健大、トミー・ジョン手術からの完全復活を目指す平良拳太郎といった既存選手の奮起があれば、他球団と比べても引けを取らない先発投手陣を形成できるだろう。

新戦力を加え競争が続くリリーフ陣

昨季は森原がシーズン途中から抑えを任されたが、今季は開幕からクローザー争いが繰り広げられそうだ 【写真は共同】

 救援陣は昨季、得点貢献度で-1.1とリーグ平均に近い数字をマーク。オフにNPB通算395登板を誇るエスコバーの退団はあったものの、新戦力や若手の台頭も期待できることから、先発と比べて戦力面の不安は少ない。昨季、来日1年目からチーム最多の61試合に登板したウェンデルケンは、33ホールドを挙げるなどセットアッパーの地位を確立。同じく33ホールドを記録した伊勢大夢とともに、今季もブルペン陣をけん引する勝ちパターンとして期待がかかる。上茶谷大河は昨季からリリーフに転向すると、さまざまな場面でマウンドに上がるフル回転の活躍を見せ、チームに欠かせない存在となった。また、石川達也、宮城滝太の育成出身コンビが成長を示しているほか、徳山壮磨がオープン戦で快投を見せブレークの兆しを見せている。これらの既存戦力に割って入るのが、新外国人のウィックやドラフト2位ルーキーの松本凌人だ。

 そして、注目は昨オフに三浦大輔監督が白紙を明言したクローザー争いだ。昨季は前半戦こそ山崎康晃が守護神を務めるも、不振により7月中旬から中継ぎに配置転換。以降は森原康平がそのポジションに回り、17セーブをマークした。今季の実戦ではここまで山崎、森原に前述の伊勢を含めた3投手で争いを続けているが、一刻も早い固定が待たれるポジションだろう。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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