ファームに新規参加 新潟&静岡が描く未来構想

元近鉄守護神が地元・静岡で監督に ゼロからのスタート、くふうハヤテで描く構想は?

岩国誠

開幕をあと1週間に控えたくふうハヤテの赤堀元之監督。ファーム・リーグ参加1年目でどう戦うか、そのビジョンを聞いた 【写真:スリーライト】

 まったくのゼロからファーム・リーグに参加する新球団「くふうハヤテベンチャーズ静岡」。その初代監督として白羽の矢が立ったのが、現役時代に近鉄バファローズの守護神として活躍し、静岡県藤枝市出身の赤堀元之氏(53)だった。地元のスターというだけでなく、NPBでは育成カテゴリーの選手指導も経験し、少ない人員で運営していく独立リーグでの監督経験が買われて今回の就任要請となった。そんな赤堀新監督が目指すチームづくりについて、春季教育リーグも始まり、ファーム開幕が近づく中で話を聞いた。

地元・静岡でぜひ監督をやりたかった

赤堀監督は地元球団からオファーが来ればぜひやりたいと思っていたという 【写真:スリーライト】

――地元・静岡に誕生した新チームでの監督就任、どんな経緯だったのですか?

 最初にお話をいただいたのは、去年夏の終わりくらいだったと思います。静岡にプロ野球球団ができる可能性は以前から言われていましたが、もし本当に球団ができて、オファーが来たら「やりたい」という思いは常に持っていました。ただ去年は、関西独立リーグの新球団・淡路島ウォリアーズの監督に就任してまだ1年目、正直迷ったのですが「静岡に(球団が)できる」ということもありましたし、淡路島の球団から「(NPBへの)話しがきたら、戻っていただいていいですよ」と言っていただいたので(監督就任を)決めました。

――池田省吾球団社長は「ボールひとつもないところからのスタート」とおっしゃっていましたが、まずは選手を獲得しないことには始まらないというところで、去年11月3、4日に清水庵原球場(現ちゅ~るスタジアム清水)でトライアウトを行いました。山下大輔GMと共に選手の動きを入念にチェックされていましたね。

(参入内定から)あまり時間がなく告知期間も短かったのですが、それでも多くの選手たちがトライアウトに参加してくれました。もう少し投手を獲れたら良かったのですが、その中でいいなと思う選手たちに入団してもらえたと思っています。

――今年1月25日からの選手合同自主トレ、そしてキャンプに入り1カ月半ほど選手たちと接してこられたと思いますが、チーム全体の印象はいかがですか?

 最初は楽しさがあったと思いますが、上(既存のNPB球団)を目指すというところがあるので、練習をしていけばいくほど、みんな真剣になっていきますし、気持ちの入り方も全然変わってきました。徐々に力はつけてきているなと感じてはいますが、まだまだやることは多いですね。

――その中でチームの中心に考えている選手を教えてください。

 今の段階ではやはり、倉本(寿彦・33/元DeNA、日本新薬)と福田(秀平・34/元ロッテ)が核になってくると思います。特に福田に関しては、本当に練習中でもすごい声を出してくれていますし、みんなを引っ張ってくれています。声を出しながら本当に元気よく盛り上げてくれていますが、彼も上を目指さないといけないので、しっかり練習もしていますね。

投打の両方でやるべきことがたくさん

春季教育リーグの中日戦で自らマウンドに駆け寄る赤堀監督(一番右)。現状の戦力についてどう捉えているのだろうか? 【写真:岩国誠】

――悪天候で予定されていた練習試合が消化できない中、春季教育リーグが始まりました。3月3日終了時点では、既にNPB球団である中日と2試合行っていますが、実戦に入って感じていることは?

 NPB初戦となった2日は2対2の引き分けでしたが、選手たちは本当によくやってくれたと思います。試合前に「泥臭く行こう」と話をしましたが、投手陣はランナーを出しながらも粘りましたし、打者は数少ないチャンスでの犠牲フライや、内野ゴロで得点をもぎ取りました。ミスもありましたが、NPBを相手に気後れすることなく戦えたことは評価できると思います。

――ただ翌3日は、13対0で大敗。NPBの洗礼を受けた形になりましたね。

 やはり、そんなに甘くはないということですね。打たれたことはある程度仕方ないことだと思っていますし、今後どうすれば相手を抑えられるかということを考えてくれたらいいと思います。ただ、初回の2アウト満塁で投手のベースカバーが遅れて、それが大量失点につながってしまった。ゲームの中での1プレーがいかに大事なのかということを、選手たちも身をもって感じたと思います。予定されていた試合数をこなせていないことや、NPBの舞台というところもあって、試合慣れしていないところはあると思いますが、経験を積んでいく中で対応できるようになっていかないと長いシーズンは戦っていけない。実戦を戦ってみて改めてやるべきことは多いと感じています。

――練習試合を含めてまだ4試合ですが、課題の多さを実感されているということですね。では逆に手応えを感じる部分はありますか?

 手応えは…まだ感じていないですね、本当に投打でやるべきことが多いので。投手陣は(4試合とも)フォアボールが多かったので、勝負しきれていないなと感じています。もちろん、(NPBレベルと)ボールの質が違うかもしれませんが、その中でも攻めて行くこと、相手に向かっていくことが大事になってくるので、もっと気持ちを前面に出していかないといけない。現段階では打たれてもいいので、自分の持っているもので相手の打者がどう対応していくかを知ることが大事だと思っています。

――赤堀監督はオリックス、ヤクルト、中日と3球団でコーチ経験があります。NPBの一軍の現場で求められる資質は何だと考えていますか?

 もちろん球は速い方がいいですが一軍での戦力と考えると、そこにコントロールも必要になってきます。その上で精度の高い変化球が…となるので、結局「全部」となってしまいますね。あとはしっかりとした気持ちを持っていること。気が弱い選手だとなかなか(一軍では)難しいので、強い気持ちを持って試合に臨める選手がいいなとは思っています。

――現在のくふうハヤテの選手たちの力量は、どう捉えていますか?

 現状でとなると、一軍でという部分は正直まだこれからだと思っています。ただ、ファーム・リーグへの参加なので、現時点でも戦えるだけの能力を持っている選手はいます。そういう選手たちを一軍で活躍できるだけのレベルにしていきたいと思っています。

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著者プロフィール

1973年3月26日生まれ。俳優志望に見切りをつけ、32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、ロッテ、西武を取材。現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBと独立リーグの取材を行っている。

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