巨人・戸郷翔征が語る2023年と2024年「MVP、投手四冠を取りたい」

加賀一輝

巨人の若きエース・戸郷(中央)に話を聞いた。写真は本人が「ベストパフォーマンス」に挙げた昨年5月24日のDeNA戦 【写真は共同】

 WBCでの侍ジャパン王座奪還や阪神の38年ぶり日本一に沸いた2023年の野球界。オフに入ってもその熱は冷めやらず、新たな1年を迎えた。そんな中、スポーツナビでは新年1月7日14時から読売テレビ・日本テレビ系で放送される『大和地所スペシャル 超プロ野球 ULTRA』の収録現場を取材。収録に参加する12球団計24人の選手にインタビューを行った。

 今回は巨人・戸郷翔征のインタビューの模様をお届けする。いまや巨人のエースにのし上がった右腕はどのような心持ちで1年を過ごしていたのか。そして来る2024年シーズンに向けての想い、掲げる目標とは?

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長いイニングを投げるのは「年々慣れていっている」

 WBCでは決勝の米国戦を含む2試合に登板。シーズンでは2年連続の170イニング到達と、2023年の戸郷はフル回転という言葉がよく似合う。本人は「長い1年間でしたけど、充実した1年間だったとは思いますね」と振り返る。

「去年(2022年)の12月ごろから始動していたので、確かに長かったです。真剣にというか、いつも真剣ですけど、毎回質をすごく上げてトレーニングをやっていた。大変でしたけどいい経験になりました」

 まだ23歳と若く、タフなイメージがある。それでも正直なところ、疲れはなかったのか?

「投げていての疲れはシーズン長いのでありましたけど、それ以外の部分、毎年毎年長いイニングを投げることに慣れてはきていたので、今年(2023年)めっちゃ疲れたというのはなかったですね。年々慣れていっている感じですかね」

 昨季のベストパフォーマンスについては「1−0で完封した試合かな」と語る。5月24日に行われた本拠地・東京ドームでのDeNA戦、9回を散発5安打に抑える完封劇。無四球、内野ゴロ12個と内容も抜群だった。

「9回2アウト、スタンドからの『戸郷』コールは嬉しかったです。あれはすごかったですね。気持ちよかった」

同世代・根尾との投げ合いで思ったこと

イベント本番で力投する戸郷 【(C)読売テレビ】

 9月の34イニング連続無失点(9月8〜30日)も「自信になった」になったという。その最後の試合、9月30日の中日戦(東京ドーム)は根尾昂との投げ合いだった。高校時代には根尾がU-18侍ジャパン、戸郷が宮崎県選抜という立場で対戦をしている。

「(根尾との投げ合いについて)そこの意識はありましたね。バッターでも何度か対戦していますし、高校の時からすごいピッチャーなのは分かっている。苦労もたくさんしていると思いますけど、その中でもあれだけ期待されているのはすごいなと思いますね」

 結果は戸郷が7回無失点、根尾が6回1失点。双方に勝ち負けはつかなかったものの「いい戦いができたと思います」と言うように、表情からは充実感がうかがえた。

 また、前年まで野手をやっていた根尾に対して、「普通のバッターと思って投げていた」と言う。実際、第1打席の初球以外は決め球・フォークの連投。2打席連続三振に抑えている。

「途中からフォーク連投していた? あの時は完全にバッターとして対戦していましたね。他のバッターと同じ感覚で。普段は真っすぐからスライダーとか、割と単純な配球で投手の打席は投げるんですけど。2打席連続三振に抑えられて、よかったです(笑)」

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著者プロフィール

1988年3月6日、愛知県生まれ。成蹊大学卒業後、一般企業を経て独立。ライティング、MCなど幅広く活動する。2016年〜23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。

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