U-22日本代表、ドイツ戦のドローは喜べない 長谷部と川島が送った金言は次戦で生かされるか

松尾祐希

スコアは2-2。しかし、内容ではドイツに圧倒され、特に前半は何もさせてもらえなかった 【Photo by Marco Steinbrenner/DeFodi Images via Getty Images】

 結果だけを見れば、ドイツと2−2のドロー。一時は逆転し、昨秋のカタールワールドカップが脳裏に過ったファンも少なくないだろう。だが、現実は違う。力の差は明らかだった。

 3月24日、パリ五輪を目指すU-22日本代表が今年初の国際親善試合に臨んだ。相手はドイツ(U-21の表記だが、23歳以下の選手で構成されているチーム)。今夏にパリ五輪の最終予選を兼ねたU-21欧州選手権に挑む強豪国に対し、日本の未来を担う若手たちは苦しんだ。ブンデスリーガで出場機会を得ている面々のプレーは洗練されており、パワーも技術も日本より一枚上手。特に前半は何もさせてもらえず、ボールの奪いどころが見つからなかった。プレスをかけても、相手に剥がされ、容易にパスを繋がれてしまう。アンカーのヤニク・カイテルにCBから何度もボールが入り、そこから一気に攻め込まれた。GK鈴木彩艶(浦和)のスーパーセーブがなければ、前半で勝負が決した可能性さえあった。

 日本は前半40分にPKで失点した直後に、CKの流れからMF佐藤恵允(明治大)が同点弾。後半開始24秒で相手のミスを突き、佐藤のお膳立てからFW細谷真大(柏)が決めて逆転に成功する。しかし、その3分後に日本の左サイドを崩され、いとも簡単に失点。後半は相手のペースが落ち、日本がリズムを掴む時間帯もあったが、互いに3点目は奪えずにタイムアップとなった。

なぜ相手に圧倒されたのか

 このスコアを素直に受け入れるべきではないし、内容も楽観視できるモノはなかった。デュエルに限れば昨年の遠征と比較して明らかに良くなったが、個々のスキルや個人戦術はまるで歯が立たなかった。チーム戦術でもドイツが勝り、立ち上がりから相手を飲み込むような力は日本になかった。そして、試合勘の無さが浮き彫りになったのも見逃せない。

 現状で日本のメンバーはJクラブの選手がほとんど。さらに今季は開幕から出場機会を減らしている選手が多い。鈴木唯人(ストラスブール)、田中聡(コルトレイク)、小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)といった海外組の選手もなかなか出番を得られておらず、唯一結果を出していた斉藤光毅(スパルタ)は怪我で招集を辞退した。その状況下でMFアンスガー・クナウフ(フランクフルト)など才能豊かな選手が揃うドイツと、互角にやり合うのは簡単ではない。

 もちろん、右SBの半田陸(G大阪)と、左SBのバングーナガンデ佳史扶(FC東京)がA代表に昇格し、今遠征は不在だった影響もある。もっと言えば、まだこのチームに合流していない久保建英(レアル・サラゴサ)がいれば違った戦術も取れるはずだ。だが、今いるメンバーで強化を進めていくしかない。

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著者プロフィール

1987年、福岡県生まれ。幼稚園から中学までサッカー部に所属。その後、高校サッカーの名門東福岡高校へ進学するも、高校時代は書道部に在籍する。大学時代はADとしてラジオ局のアルバイトに勤しむ。卒業後はサッカー専門誌『エルゴラッソ』のジェフ千葉担当や『サッカーダイジェスト』の編集部に籍を置き、2019年6月からフリーランスに。現在は育成年代や世代別代表を中心に取材を続けている。

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