U-22日本代表、ドイツ戦のドローは喜べない 長谷部と川島が送った金言は次戦で生かされるか

松尾祐希

長谷部と川島が送った言葉――パリ五輪世代の選手たちは本当の意味で理解できるか

中盤の底でデュエルの強さを示した川﨑。昨季は代表で出番が限られたが、この日はボール奪取能力の高さが際立った 【Photo by Alexander Scheuber/Getty Images】

 だからこそ、所属チームで出場機会を掴み、一つでも上にステップアップできるようにトライを続ける必要がある。その際たる例が 昨季は代表でベンチスタートが多かったMF川﨑颯太(京都)だろう。今季からキャプテンを任されている21歳は開幕からチームの先頭に立ち、サポーターからブーイングを浴びる痛恨事も経験。自覚と責任が増し、プレーの安定感も増した。

 その中で迎えた今遠征。J1のクラブでレギュラーを張っているボランチの選手は川﨑のみとあって、並々ならぬ決意を持っていたのは言うまでもない。その結果、このドイツ戦は出場機会を失っている田中や藤田譲瑠チマ(横浜)を押しのけて、スタメンに抜擢。「僕は段違いに出足が速くないと、代表に選ばれている存在意義がない」と振り返った川﨑は中盤の底でデュエルの強さを見せ、豊富な運動量で攻守に関わり続けた。大岩剛監督は直接言及しなかったが、「試合に出場している選手はすごくいいですよ」とコメント。ドイツ戦で川﨑が評価を高めたのは間違いないだろう。

 ただ、大半の選手がもがいており、結果には結び付いていない。大岩監督も彼らの現状についてこう話す。

 「率直に言って、彼らも苦しんでいると思います。別にひいき目で見るわけじゃなくて、彼たちが試合に出られていない。本意ではないし、コンディションも悪い。それは致し方がないことだけれど、ただやるべきところもあるし、もどかしさもある」

 ドイツ戦では明らかに期待を裏切った選手もいる。ただ、これで終わりではない。もがいた先に何があるのか――。「最後に川島永嗣とマコ(長谷部誠)がいいことを言ってくれたんで、響いたんじゃないですかね」(大岩監督)。試合後、会場に訪れていた日本代表の大先輩、長谷部誠と川島永嗣から金言を授けられた。

「若いうちにしっかりともがきながら、やるべき、1日1日を大切にするべきだよ」

すぐに変わるわけではないが、ドイツ戦での学びが28日のベルギー戦でどのように生かされるか楽しみにしたい。

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著者プロフィール

1987年、福岡県生まれ。幼稚園から中学までサッカー部に所属。その後、高校サッカーの名門東福岡高校へ進学するも、高校時代は書道部に在籍する。大学時代はADとしてラジオ局のアルバイトに勤しむ。卒業後はサッカー専門誌『エルゴラッソ』のジェフ千葉担当や『サッカーダイジェスト』の編集部に籍を置き、2019年6月からフリーランスに。現在は育成年代や世代別代表を中心に取材を続けている。

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