【ノンフィクション】シント=トロイデン買収の真相 第3回 STVVと交渉決裂!?
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青天の霹靂だった「破談」の報告
現地であいさつ回りをするため、オランダ・アムステルダムのスキポール空港に降り立った山形だったが…… 【写真:アフロ】
耳に飛び込んできたのは、衝撃的な言葉だった――。
STVVのオーナーであるローランド・ドゥシャトレとの面会に成功した日から2カ月が経った2017年5月23日、山形伸之はオランダ・アムステルダムのスキポール空港に降り立った。
ドゥシャトレとの面会で好感触を得た山形はその後、日本にいったん帰国した。ここからは企業同士の買収交渉に入る。交渉の任務は山形の手から離れ、DMM.com(DMM)のM&A(企業買収)担当者と語学に優れた社員へと引き継がれた。
買収成立は、間近だと聞いていた。だからこの日、山形は現地の日本企業や日本人会へのあいさつ回りをするため、日本からオランダに飛び、陸路でベルギーに入ることにしていた。
しかし、アムステルダムの空港に降り立った瞬間、山形の携帯電話が着信を伝えた。電話に出た山形は、DMM社員からもたらされた交渉決裂の情報に耳を疑った。
「『え、どういうこと?』と聞いても、要領を得ない。どうやら、ドゥシャトレを怒らせてしまったようで。呆然としました。あまりにショックで頭の中が真っ白になって、イミグレーションで何も答えられず、オフィスで2時間拘束されましたから」
ブラジル人のアンドレ・ピントは、スキポール空港で山形の到着を待っていた。STVVの強化を担当する予定のアンドレもまた、交渉成立間近と聞き、ベルギーサッカー界の下調べをするため、山形と落ち合い、車でブリュッセルに向かうはずだったのだ。
しかし、山形を乗せた飛行機はとっくに着いているのに、山形の姿が見えない。
「2時間くらい経ったのかな。ようやく山形さんが出てきたんですけど、破談になったと聞いて、びっくりしました。そこから2人で、ホテルを取ってあったブリュッセルに向かったんですけど、車の中はものすごく暗い雰囲気でしたね」
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