味わった絶頂とどん底、人生変えた山上り 箱根5区ココに注目 神野大地(青学大OB)

東海林美佳
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 今年も箱根駅伝が近づいてきた。東京・大手町から箱根・芦ノ湖までの全10区間、合計217.1キロのコースでは、さまざまな難所が選手を待ち受ける。コース攻略の鍵となるのはどこか。走った者だけが知りうる意外なエピソードとは。過去に箱根路を彩った名ランナーたちが、自身が走った区間を解説する。

 山上りの往路5区(20.8キロ)は、青山学院大OBのプロランナー・神野大地さん(セルソース)。3年時(2015年大会)に1時間16分15秒の区間新記録で走り、同大初の総合優勝に貢献。4年時(16年大会)も同区区間2位と快走し、“三代目・山の神”と称された。しかしその裏では、絶頂とどん底を経験していた。神野さんに当時の思い出や5区の攻略法を聞いた。

当初は2区を走るはずだったが……

2度走った5区の思い出を笑顔で語る神野さん 【スポーツナビ】

「山を制する者は箱根を制する」とよく言われますが、本当にそうだと思います。箱根で優勝するなら絶対に外せない区間、それが5区。ここで区間5位以下の走りだったら優勝は難しいと思います。平地はそんなに差がつくものではありません。留学生でも2〜3分差をつけるのは難しいけれど、山だったらすぐにそのくらいの差がついてしまう。責任重大ですが、その分ものすごく注目度が高いので、やりがいはあると思います。

 僕は3年生の時に初めて5区を走ったのですが、当初は前年同様2区(区間6位)を走ることになっていました。5区に決まったのは11月の中旬ぐらい。5区を予定していた1年下の一色恭志(現・GMOアスリーツ)が山道で本番を想定した練習をするというので、僕も2区最後の戸塚の“壁”(編注:不動坂から続く約3キロの上り坂)を克服するべく一緒にやったんです。そうしたら僕の方が一色よりも速く上ってしまった。そこでもう、原(晋)監督は「神野が5区、一色が2区」と(笑)。一色のタイムも悪くなかったんですけどね。

 僕自身、大学に入るまではむしろ坂は苦手でした。ただ、大学で鍛えられるうちに自分の走力が上がってきていたのと、3年生のあの時はチーム内で一番調子がよかったんです。多分2区を走ったとしても区間賞が取れたんじゃないかと思えるほど絶好調でした。
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著者プロフィール

ランニングとトライアスロンにハマってしまったフリーランスエディター。一般女性誌やライフスタイル誌、スポーツ誌など幅広いジャンルを手がける。アイアンマンハワイをはじめ、海外レース、海外選手の取材多数。

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