体はボロボロ、それでも押し続ける走りを
箱根6区ココに注目 千葉健太(駒大OB)

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 今年も箱根駅伝が近づいてきた。東京・大手町から箱根・芦ノ湖までの全10区間、合計217.1キロのコースでは、さまざまな難所が選手を待ち受ける。コース攻略の鍵となるのはどこか。走った者だけが知りうる意外なエピソードとは。過去に箱根路を彩った名ランナーたちが、自身が走った区間を解説する。


 復路のスタートとなる6区(20.8キロ)は、駒澤大OBで現在は富士通に勤める千葉健太さん。4年連続(2010〜13年大会)で6区を走り、区間賞3回、大学2年時は区間新記録をたたき出すなど、山下りの“職人”として活躍した。猛スピードで駆け下りる恐怖と体へのダメージをいかに乗り越え、結果を残し続けたのか。そのコツを聞いた。

2年までは「勢いで走って」区間賞が取れたが……

山下りで3度の区間賞を獲得した千葉さんに6区のポイントを聞いた
山下りで3度の区間賞を獲得した千葉さんに6区のポイントを聞いた【スポーツナビ】

 1年時の11月、全日本大学駅伝で3区を区間7位で走った後に、大八木弘明監督から「箱根駅伝は6区」と言われました。正直、どういうところの適性を認めて選ばれたのか分かりません。ただ、生まれ育ったのは長野県の天竜川沿いにある坂道ばかりの所だったし、佐久長聖高時代もクロスカントリーは得意だったので、うまく走れば区間賞はいけるのではないかと思っていました。


 1年時の箱根駅伝は、急な下りでスピードが上がってしまう怖さはあったものの、何も分からず、勢いで走って区間賞が取れた感じでしたね。区間新記録をマークした2年時までは勢いで走っていたと思います。このときは走っていてもスピード感覚が違うし、脚の動きも違っていました。きついけれどスピードに乗っていられる感じだったので、区間新までいけると思っていましたし、気分も良かったですね。この年は雪が降って、山の上の方は道路が凍っていたので転倒した選手もいました。僕も恐怖感はありましたが、ちょっとでも気を抜いたら危ないと思って最後まで集中できたのが良かったと思います。


 3年の時は苦戦しましたね(区間5位)。故障で11月の終わりまでずっと走れない状態だったけれど、それまでもスピードランナーが多く走っていた区間なので「スピードを戻せば何とかいけるんじゃないか」という思いはありました。でも、そんな簡単なものではなかったです。他の区間より脚へのダメージが大きい分、しっかり走り込んで脚をつくっていなければ持たないというのを実感させられました。

普段は体感できない猛スピードの“代償”

 6区の下りは序盤の方が傾斜はきつく、下れば下るほど緩やかになってスピードが出なくなってきます。そこでペースを落とさないようにするには、自分の筋力で押していかなければいけないのですが、ダメージがきて脚もつらくなっている中では大変なことです。下りでは平地で使う出力をはるかに超えた体の動かし方をしているので、脚というよりは臀部(でんぶ)や腰など、一番強いはずの大きな筋肉にダメージが出てきます。

折山淑美

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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