シード権懸けた目に見えない重圧との戦い 箱根10区ココに注目 寺田夏生(国学大OB)

東海林美佳
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10区を走った1年時には、ゴール直前にコースを間違えながらもシード権獲得に貢献した寺田さん(写真中央) 【写真:アフロスポーツ】

 今年も箱根駅伝が近づいてきた。東京・大手町から箱根・芦ノ湖までの全10区間、合計217.1キロのコースでは、さまざまな難所が選手を待ち受ける。コース攻略の鍵となるのはどこか。走った者だけが知りうる意外なエピソードとは。過去に箱根路を彩った名ランナーたちが、自身が走った区間を解説する。

 アンカーとなる復路10区(23.0キロ)は、国学院大OBで現在は実業団のJR東日本で活躍する寺田夏生さん。1年時(2011年大会、区間11位)に走り、コースを間違えながらも総合10位でゴールし、チーム史上初のシード権獲得に貢献した。過酷なシード権争いを経験した寺田さんが語る10区のポイントと、壮絶な戦いの裏話とは?

耳が痛くなるほどの大歓声

 10区を走ったのは2011年、私が1年生の時。12月31日の夕方になって急に前田康弘監督から「おまえを10区に使うから」と言われて驚いたことを覚えています。てっきり私は外れるものと思い込んでいましたから。10区といえば、順位が決まる区間。1年目だし調子もあまりよくなかったので不安しかありませんでした。

 チームの目標はシード権獲得(10位以内)。往路は6位でゴールしていたので、このまま来てくれればのんびり走れるなという気持ちだったんですけど、テレビを見ているうちにどんどん順位が下がってきて、「これはちょっとまずいな」と。鶴見中継所に行くまでかなり不安だったのですが、途中で先輩から「気負うことはないから楽しんで走れよ」と連絡がきて、それで少し気が楽になりましたね。それでも結構接戦で「10位、11位で来たらどうしよう」とずっと祈るような気持ちでいたのですが、結局11位でたすきを受け取ることになりました。たすき渡しの瞬間、9区の先輩から「おまえ、絶対抜いてこいよ!」と言われて、そこで気合いが入って「任せてください」と答えてスタートしました。
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著者プロフィール

ランニングとトライアスロンにハマってしまったフリーランスエディター。一般女性誌やライフスタイル誌、スポーツ誌など幅広いジャンルを手がける。アイアンマンハワイをはじめ、海外レース、海外選手の取材多数。

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