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日本代表が苦しんだ“グレーゾーン”
世界王者オールブラックスとの差

世界1位のNZ代表に完敗

日本代表(赤と白のジャージ)は、ニュージーランド代表を相手に奮闘したが、「勝つ流れ」に持っていくことができなかった
日本代表(赤と白のジャージ)は、ニュージーランド代表を相手に奮闘したが、「勝つ流れ」に持っていくことができなかった【斉藤健仁】

 来年に自国開催のラグビーワールドカップ(W杯)を控えた日本代表は、W杯開幕戦の地である東京・味の素スタジアムで世界王者の「オールブラックス」ことニュージーランド代表とテストマッチ(国代表同士の国際試合)を行った。5トライを挙げてアタックでは見せたが、接点で後手を踏み、守備で粘れず10トライを献上、31対69で敗れた。


 個人的にはこの試合で一番注目していたのは、「勝つ流れ」に持っていけるか、だった。「私たちの準備状況がどこまで進んだかを測る良い機会」と日本代表主将のFLリーチ マイケルが言うように、来年までのスケジュールを考えると、イングランド代表戦も含めて、ランキング上位チームと対戦し、自分たちの現在地を知ることができる貴重な“テスト”となった。

準備をして臨むも「勝つ流れ」に持っていけず

攻守で活躍を見せた日本代表WTB福岡堅樹
攻守で活躍を見せた日本代表WTB福岡堅樹【斉藤健仁】

 オールブラックスは主力19名がイングランド代表戦のために先に渡欧した。それでも日本代表の速い展開、前に出るディフェンスを警戒し、SOリッチー・モウンガ、CTBンガニ・ラウマペ、WTBネヘ・ミルナースカッダー、ワイサケ・ナホロらBKに実力者をそろえた。ただ23人中8人がノンキャップと来年のW杯のスコッド入りを目指す選手たちが中心で、試合に備える期間は5日ほどしかなかった。


 一方で日本代表は、9月には2泊3日で和歌山合宿をし、トップリーグの試合を1試合休んで宮崎合宿を敢行、先週は世界選抜戦(28対31)も行って計3週間をしっかりと準備に充てた。2004年以降の日本代表戦では最多となる4万3751人の観客を集めて、オールブラックス戦6試合目で5トライは過去最多、38という得失点差も最少という記録ずくめの試合となった。


 ただ、喜んでばかりではいられない。結論から先に言えば、「勝つ流れ」に持っていくことはできず、来年のW杯で対戦するアイルランド代表(世界ランキング2位)、スコットランド代表(同7位)を想定すれば課題の多い試合となった。

接点での攻防は「日本代表の世界との一つの差」

日本代表の選手を倒し、ボールに絡んでくるNZ代表。接点での攻防でプレッシャーを受けた
日本代表の選手を倒し、ボールに絡んでくるNZ代表。接点での攻防でプレッシャーを受けた【斉藤健仁】

 日本代表はオールブラックスの速さ、うまさ、そして老獪さの前に本来の実力を発揮させてもらえなかった。前に出るディフェンスでプレッシャーをかけてトライに結びつけ、世界選抜戦の課題の一つだったスクラムは修正された。だがラインアウトの成功率は50%(3/6)と悪いままであり、接点でプレッシャーを受けたことが試合を難しくした。試合を通して70回あったラックでは、9回ほどターンオーバーされた。


 世界選抜戦でも前半はラックで相手に絡まれて、ボールはキープしていたものの、良いアタックはできなかった。PR稲垣啓太は「オールブラックスもラックのグレーゾーンを攻めてくる」と予想しており、もちろんジェイミー・ジョセフHCは接点の練習にも注力。稲垣は「トップリーグ全体としてボールをプロテクトしようとするイメージが強いが、海外の強豪は相手をはがしにいくマインドがある。そこが日本代表の世界との一つの差だと思う。この数週間でそこの差を埋められたら……」と意気込んでいた。

斉藤健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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