日本代表が苦しんだ“グレーゾーン” 世界王者オールブラックスとの差
世界1位のNZ代表に完敗
日本代表(赤と白のジャージ)は、ニュージーランド代表を相手に奮闘したが、「勝つ流れ」に持っていくことができなかった 【斉藤健仁】
個人的にはこの試合で一番注目していたのは、「勝つ流れ」に持っていけるか、だった。「私たちの準備状況がどこまで進んだかを測る良い機会」と日本代表主将のFLリーチ マイケルが言うように、来年までのスケジュールを考えると、イングランド代表戦も含めて、ランキング上位チームと対戦し、自分たちの現在地を知ることができる貴重な“テスト”となった。
準備をして臨むも「勝つ流れ」に持っていけず
攻守で活躍を見せた日本代表WTB福岡堅樹 【斉藤健仁】
一方で日本代表は、9月には2泊3日で和歌山合宿をし、トップリーグの試合を1試合休んで宮崎合宿を敢行、先週は世界選抜戦(28対31)も行って計3週間をしっかりと準備に充てた。2004年以降の日本代表戦では最多となる4万3751人の観客を集めて、オールブラックス戦6試合目で5トライは過去最多、38という得失点差も最少という記録ずくめの試合となった。
ただ、喜んでばかりではいられない。結論から先に言えば、「勝つ流れ」に持っていくことはできず、来年のW杯で対戦するアイルランド代表(世界ランキング2位)、スコットランド代表(同7位)を想定すれば課題の多い試合となった。
接点での攻防は「日本代表の世界との一つの差」
日本代表の選手を倒し、ボールに絡んでくるNZ代表。接点での攻防でプレッシャーを受けた 【斉藤健仁】
世界選抜戦でも前半はラックで相手に絡まれて、ボールはキープしていたものの、良いアタックはできなかった。PR稲垣啓太は「オールブラックスもラックのグレーゾーンを攻めてくる」と予想しており、もちろんジェイミー・ジョセフHCは接点の練習にも注力。稲垣は「トップリーグ全体としてボールをプロテクトしようとするイメージが強いが、海外の強豪は相手をはがしにいくマインドがある。そこが日本代表の世界との一つの差だと思う。この数週間でそこの差を埋められたら……」と意気込んでいた。