オールブラックスが勝ち続ける理由 「全員が世界一になりたいと考えている」

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常勝を期待されても「プレッシャーを前向きに」

オールブラックスの若きエースとして活躍しているリーコ・イオアネ 【赤坂直人/スポーツナビ】

 来年のラグビーワールドカップ日本大会で3連覇を狙うニュージーランド代表オールブラックス。2009年から世界ランキング1位の座を守り続けている。
 圧倒的な実力を誇るオールブラックスの中で、オフロードパス(タックルされながらのパス)の技術の高さが光るソニー・ビル・ウィリアムズ(愛称SBW)と、21歳にしてエースとして活躍し、トライを量産しているリーコ・イオアネに話を聞いた。

――オールブラックスは世界で勝ち続けていますが、秘訣はありますか?

SBW 私たちはオールブラックスでいられてラッキーだと思います。ニュージーランドは選手層が厚くて、才能のある選手が本当にたくさんいます。チーム内の競争においてもプレッシャーがあります。
 チームとしては、オールブラックスは常に必ず勝つことが期待されています。その周囲からの期待は精神的なストレスになり得るものですが、そのプレッシャーを前向きにとらえて戦えるチームになっていると思います。

 また、グラウンド外についても、この10年でチームを作り上げる仕組みがより良くなっているのも大きいと思います。

リーコ 彼がうまくまとめてくれたので、追加することはありません(笑)

「すべての選手が高い目標を持って毎日の練習をしている」

ソニー・ビル・ウィリアムズ(左)とリーコ・イオアネ。人気、実力ともに世界トップクラスを誇っている 【赤坂直人/スポーツナビ】

――選手層が厚い中で競争に勝つために、毎日の練習で心がけていることはありますか?

リーコ まずは自分が心身ともにベストな状態で練習に臨むことを大切にしています。
 そして、オールブラックスではみんなが「世界一になりたい」という思いを持ってグラウンドに来ています。それはどのポジションの選手でも、スタメンで出る選手もベンチから出る選手も、全員が同じです。すべての選手が高い目標を持って毎日の練習をしていることが、オールブラックスが勝ち続けることにつながっていると思います。

SBW「人生はパーフェクトではありません」

「自分のメンタルの仕組みを理解することが大事」と語るソニー・ビル・ウィリアムズ 【赤坂直人/スポーツナビ】

――毎日、練習をしていて気持ちが乗らない日もあるかと思いますが、どう対処していますか?

SBW 自分がベストな選手でいるため、世界一の選手になるために練習している、と理解することが、まずは大切だと思います。
 人生はパーフェクトではありません。プロアスリートも、みなさんと同じで良い日もあれば、悪い日もあります。
 もちろん私たちも日々の生活で思い通りにいかないことがありますが、自分のメンタルの仕組みを理解して、目標をセットして、自分がやるべきことにひとつずつ対応していくことが大事だと考えています。スポーツ選手ではありますが、両親や友達、みなさんと同じなんです。

新しいジャージは「自分の仕事を助けてくれる」

新しいジャージとともにオールブラックスの新たな歴史が作られていく 【赤坂直人/スポーツナビ】

――新しいジャージの印象を教えてください。

SBW 私はセンター(CTB)をやっていて、相手との距離が近く、激しいプレーが多いので、ジャージがタイトなのはうれしいです。軽く圧迫を感じるようなウェアになっています。
 見た目では白襟のラインがかっこいいですね。気に入っています。

リーコ 私はウイング(WTB)をやっていて、速く走ることが仕事なので、これまでのジャージに比べて25%も軽量化してくれたのがうれしいです。着心地も良いですし、自分の仕事を助けてくれると思います。

リーコ「私の強みはラグビーを楽しんでいること」

スピード、パワーを兼ね備えているリーコ・イオアネ 【築田純】

――リーコ選手は21歳にして国際試合22トライ。世界記録(大畑大介氏の69トライ)更新も期待されていますが、ご自身の強みはどこだと思いますか?

リーコ まず、トライの記録について意識することはありません。今はラグビーをプレーすることに集中していて、チームの一員として、必要なことをやるだけです。個人の記録にはこだわっていません。

 私の強みはラグビーを楽しんでいることです。クラブチームでも、オールブラックスでも、常にプレーすることを楽しんでいます。楽しんで、グラウンドで自分を表現することが私の強みです。

 また、広いスペースにおける1対1の勝負が多い7人制を経験したので、個人として相手を抜く、相手を止める、というプレーは向上したと思っています。今は15人制をやっていますが、7人制の経験が役に立っています。

 私たちの家族は全員がラグビーをやっていて(父のエディーは元サモア代表で日本のリコーでもプレー、母のサンドラは元NZ女子代表、兄のアキラはオールブラックス選出経験あり)、みんなハイレベルでプレーしています。ディナーを食べる時も家族みんなで思い出話をしたり、お互いのプレーについて話したりすることを楽しんでいます。

(取材・文:安実剛士/スポーツナビ)
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