ハミルトンがついに王者に返り咲く? F1・2025シーズン開幕間近!

柴田久仁夫

少年時代から夢見たフェラーリドライバーとして第一歩を踏み出したハミルトン 【Photo by Clive Mason - Formula 1/Formula 1 via Getty Images】

今季最注目ドライバーはハミルトンだ

 F1世界選手権2025シーズンが、いよいよ始まる。2月26日から3日間の直前テストを経て、2週間後にはオーストラリア・メルボルンで開幕戦が行われる。

 去年はシーズン前半はレッドブルのマックス・フェルスタッペンが圧倒的な強さを見せ、ライバルたちも諦めムードだった。ところが中盤以降は、マクラーレン、フェラーリの躍進で大混戦状態に。最終的にフェルスタッペンは何とか逃げ切って四連覇を果たしたものの、昨年までの王者レッドブルはコンストラクターズ選手権で3位に沈んだ。

 では今季は、どんな展開が待っているだろう。去年26年ぶりにタイトルを獲得したマクラーレン、2位につけたフェラーリが、今年も総合力では最強だろう。ただしレッドブルも、マシン開発の要だったエイドリアン・ニューウィを失ったダメージは依然として大きいとはいえ、フェルスタッペンの実力は侮り難い。タイトル争いにはしっかり絡んで来ると見る。

 ただ今季のドライバーでいえば、僕が最も注目したいのはフェラーリへの電撃移籍を果たしたルイス・ハミルトンだ。メルセデスでの直近3シーズンは、非常に苦しい時期を過ごした。特に去年はチームメイトのジョージ・ラッセルに対し、予選で5勝19敗と惨敗。七度の世界チャンピオンとはいえ、衰えの明らかなドライバーのフェラーリ移籍を疑問視する声も少なくなかった。正直に言えば、僕もその一人だった。

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「40歳になって、これほどモチベーションが上がるとは」

マラネロを初めて訪れ、満面の笑みでスタッフたちと挨拶を交わすハミルトン 【©ScuderiaFerrari】

 しかし憧れのフェラーリドライバーになった年明け以降のハミルトンは、ある種の変身を遂げつつあるように見える。

 1月下旬、マラネロを初訪問したハミルトンは、まず2年落ちのフェラーリSF-23をドライブ。数日後のピレリテストでは、昨年型マシンで周回を重ねた。タイヤがデモラン用だったり、ダウンフォースを大幅に減らされた仕様の車体だったりはしたが、憧れのフェラーリマシンを初めて実際に体験した。

 そしてこれが、ハミルトン自身も驚くほどの新鮮な衝撃を与えたようなのだ。チームの公式サイトで、ハミルトンはこう語っている。

「人生で特別な、初めての経験などほんの少ししかない。初めてのキス、初めてのデート、初めての学校、初めての仕事。正直なところ、多くのことを経験してきた僕には、もはや新しいことなど何もないと思っていた」

「ところが真紅のレーシングスーツを着て、マシンに乗り込んだ時、20年前に初めてF1マシンを走らせた興奮を思い出した。いや、全てが真っ赤なコックピットは、それとはまったく別物だった!」

 そしてハミルトンのコメントは、こう結ばれる。

「40歳になって、これほどモチベーションが上がるとは思わなかった」

 この3シーズン苦しみ続け、衰えを指摘されたハミルトンが最も求めていたのは、まさにこの若返りだったのではないか。

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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