角田裕毅がレッドブル初テスト! 昇格の可能性は?

柴田久仁夫

角田はどこまで進化した?

初めてレッドブルマシンに乗り込んだ角田裕毅 【(C)Redbull】

 F1最終戦アブダビGPの二日後、角田裕毅がレッドブルマシンを初めて走らせた。その内容は後述するとして、まずは今季の角田の戦いぶりを振り返ってみよう。

 角田は全24戦で9回入賞し、3回の7位が最高位。ドライバーズ選手権は、24人中12位だった。そして予選では、Q3に11回進出した。これらの数字を過去のシーズンと比較すると、F1デビュー年2021年の9回と7回を凌ぐ自己ベストだった(レース数は今季の方が2戦多かったが)。

 選手権順位も2021年、23年の14位から二つ上げて自己最高。そして獲得ポイント数30は、2021年の32ポイントに次ぐものだった。ちなみに角田選手の所属するレーシングブルズ(去年まではアルファタウリ)のマシン戦闘力は、コンストラクターズ選手権6位という結果だけ見ても、この4年間では2021年がもっとも高かったと言える。一方、今季のVCARB01は、トップ4チーム(+アストンマーティン)より遅かったのはいうまでもなく、シーズン終盤はハース、アルピーヌにもコンスタントに負けていた。

 つまり全10チームの中で、今季のRBの戦闘力は良くて5番目、平均すると6~7番目あたりが妥当な順位だったと思われる。それでも角田は純粋な一発の速さが求められる予選で、11回もトップ10に食い込み、サンパウロGPでは3番手の速ささえ見せた。そして決勝レースでも9回の入賞。「非力なマシンから100%の力を引き出し、最大限の結果を出した1年」だったと、評価していいと思う。

チームメイトにも勝ち続けた

予選、レースともに角田が優ったとはいえ、ローソン(写真左)も高い潜在能力を秘めたドライバーだ 【(C)Redbull】

 対チームメイトでも、優位は明らかだった。

 第18戦までコンビを組んだダニエル・リカルドに対しては、予選が12勝6敗、レースは両者リタイアの中国GPを除くと9勝8敗。入賞回数はリカルドの3回に対して7回と圧倒した。その後チームメイトになったリアム・ローソンも、予選6勝0敗、レースも4勝2敗という結果を残した。

 チームへの貢献度の点でも、RBの獲得した46ポイントのうち、角田は30ポイント、リカルドは12ポイント、ローソンは4ポイントだった。参戦数が全く違うので単純比較はできないにしても、大部分のポイントは角田が稼ぎ出したことは事実である。

 ただしローソンはまだF1で通算11戦しか走っていない、22歳のルーキーにすぎない。去年のオランダGPでのF1デビューも、リカルドの骨折で二日目から急遽出走。初めて走らせるマシン、予選、レースともに雨が降ったり止んだりの難しいコンディションにもかかわらず、決勝13位で完走した。

 そして3戦目のシンガポールGPでは早くも予選Q3に進出し、決勝も9位完走で初ポイントを獲得した。このグランプリを含め、この年出走した5レースは全て完走。そのうち4レースで、角田の成績を上回った。この抜群の適応能力、安定したレース運びが、レッドブル上層部に強い印象を与えたことは想像に難くない。

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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