「No Doubt!」な本塁打王は大谷か、ジャッジか? 新連載【独自の言葉で振り返る、大谷翔平の2024年】
9月19日のマーリンズ戦で50号本塁打を放ち、MLB史上初の「50-50」を達成した、ドジャースの大谷翔平 【Photo by Jasen Vinlove/Miami Marlins/Getty Images】
松井秀喜さん(ヤンキースなど)のMLB通算本塁打記録を更新した4月21日(現地時間、以下同)の今季5号は、まさにそんな見る者を圧倒する飛距離。右翼のスターリング・マルテ(メッツ)は、後ろ手に腕を組んだまま、打球を追うこともなければ、見上げることもなかった。
「打球音を聞けば、それが無駄だと分かったから」。マルテは試合後、そう振り返った。
投手の反応からも、打球の凄まじさが読み解ける。ナショナルズ・パークで放った今季6号。打たれたマット・バーンズ(ナショナルズ)は、反射的に打球を振り返ったものの、着弾点を確認することはなかった。
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「No Doubt!」な本塁打王は誰だ
8月23日のレイズ戦で40号本塁打を放ち、「40-40」を達成した際には、試合後チームメイトから手荒な祝福を受けた 【Photo by Katelyn Mulcahy/Getty Images】
そのデータも公表されていて、大谷の「No Doubters」は33本で今季リーグトップ。途中までは、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)が上回っていたが、最終的には2本差をつけた。3位は、フアン・ソト(メッツと契約)の26本。No Doubtersの比率は57.9%だが、20本以上本塁打を打っている中では、ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)が65.6%でトップとなっている。
そうした一方で、あの当たりが入るのか? という本塁打も、大谷の“凄み”を現している。打った瞬間は、「外野フライかな」という打球が伸びるのだ。今季40号――「40-40」を達成したときのサヨナラ満塁本塁打などがまさにそう。打った瞬間は、フェンス手前までが精一杯か、という軌道に見えた。打球角度は35度。やや上がりすぎた。加えて、ロサンゼルスは夜になると急に冷え込んで、湿気が多くなる。そのため、デーゲームに比べて打球が失速するのだ。
ところが最後、グンと伸びた。
ロッキーズのバド・ブラック監督が今季、こんな話をしていたのを思い出す。
「翔平の打球は、外野に上がった瞬間、全部にホームランになるんじゃないかと、ヒヤッとする」
今年、外野へ上がった大谷のフライは148本。そのうち本塁打が54本。つまり、36.5%がホームランだったのだから、ブラック監督の言葉は決して大袈裟ではない。大谷の打球に角度がつくと、客席のファンの多くが腰をあげるのも、同じ感覚によるものだろう。ちなみに、すべてのフライを対象とするなら、大谷の場合、28%が本塁打。ジャッジは32.2%だった。