ロコ・ソラーレが語るグランドスラムの魅力 吉田知那美「いつだって挑戦者に」藤澤「最高に楽しい場所」

竹田聡一郎

2023年1月、カナディアンオープンで優勝。チーム結成以来の悲願を達成した 【(C)Loco Solare】

 カーリングの2024/25シーズンも中盤に差し掛る。

 ロコ・ソラーレ(Fujisawa)のシーズン前半は北海道ツアー2大会出場後、9月上旬にカナダに飛び、約1ヶ月半の遠征で5大会に出場。例年であれば11月上旬に開催されるパンコンチネンタルカップに出場していたが、今季は日本代表ではないため、その準備期間で一時、帰国して各選手はリセットとリカバリーに充てた。

 ちょうど遠征を前後半に分割したような形で、2週間ほどの日本滞在を挟んで10月末に再度、カナダへ 。12月中旬までの1ヶ月半ながらグランドスラム2大会を含む6大会に出場予定だ。

吉田夕梨花「強いチームには強いチームの理由が必ずある」

 5日からはアルバータ州ニスキューで行われるグランドスラム「カナディアンオープン」を戦う。

 同タイトル制覇を果たした一昨季は、日本代表として出場したパンコンチネンタルカップも制し、日本選手権でも連覇を達成し、世界ランキングもシーズンのほとんどをトップ5の位置で過ごした。

 しかし、昨季のタイトルは北海道ツアーのアドヴィックスカップのみ。ランキングも10位以下に落ちてしまった。

「スラムに出続けることは難しいと実感するシーズンだった」

 リードの吉田夕梨花は昨季をそう振り返った上でグランドスラムについてこう語る。

「技術的にも作戦的にも世界のトップで、私たちもそのペースについていかないといけない。世界のトップチームが試合前練習をどんなふうに取り組んでいるのか、多くのものを吸収できる場所でもあります。強いチームには強いチームの理由が必ずあるから」

 ランキングトップ16のみが出場できるこの舞台は、カーリングの最前線で最先端だ。作戦や選手の見本市であり、最高の腕試しの場所でもある。

 セカンドの鈴木夕湖は「吸収」に加えて「発見」という言葉でグランドスラムを表現した。10月上旬にプリンスエドワードアイランド州シャーロットタウンで開催された今季のグランドスラム初戦「ツアーチャレンジ」で、ランキング1位のチーム・ホーマン(Homan/カナダ)とチーム・コンスタンティーニ(Constantini/イタリア)の試合をチームでスタンドから観戦したと言う。

「(レイチェル・)ホーマン選手はドローもテイクもどちらも上手いんですけれど、競った試合でプレッシャードローを投げさせる展開にしたほうがチャンスがありそうでした。コンスタンティーニ選手たちが採った作戦は私たちの参考になると思う」

 死角のないように見えたチーム、絶好調を維持しているチームでも、タイプの違うトップチームとの対戦が続けば、どこかにヒントが隠れていてそれを見つける。それがグランドスラムの面白さでもある。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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