「スーパーショットを投げるのが大好き」な地元チームの可憐なキーパーソン 中部電力スキップ・北澤育恵インタビュー

奥岡幹浩
 国内外の強豪チームがそろう軽井沢国際カーリングが12月13日から3日間、長野・軽井沢アイスパークで開催される。女子の注目チームのひとつが、連覇を狙う中部電力だ。スキップを務める北澤育恵(28)を中心に、昨年は大会初優勝を飾った。その北澤に、カーリングの観戦ポイントや個性派ぞろいのチームメート、そして自分自身について、ユーモアたっぷりに語ってもらった。

地元開催の大会を盛り上げるために

大会連覇を狙う中部電力のキーマンは、スキップを務める北澤だ 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

――連覇がかかる軽井沢国際が近づいてきました。

 1年前の優勝は、自分たちのやってきたことが成果に結びついたという意味でもうれしかったです。今年もまずは決勝まで残り、地元大会を盛り上げたいですね。

――今年も海外から強豪チームが来日します。対戦が楽しみなチームは?

 やっぱり、チーム・ハッセルバーグとチーム・トリンゾーニですね。両チームともミスが少なく、詰めの部分まで隙がない。競り合う展開も多く、見ていて面白いと思います。

――カーリングを生観戦するうえでの注目ポイントは?

 テレビカメラになかなか映らない部分でいえば、攻撃していない側の動きでしょうか。私たちのチームの場合、まだ使っていないラインに相手が投じるさい、横について石の速度が落ちるタイミングなどを計測しています。そうした行動はチームごとに異なるので、着目していただくと面白いかもしれません。

――カーリング観戦前後の、軽井沢のおすすめスポットはありますか?

 近くに塩沢湖という観光スポットがあります。実は高校時代、サードの中嶋と一緒にアルバイトをしていたことも。中嶋は入り口でチケットをもぎり、私は敷地内のファストフード店で働いていました。

――風景もきれいなんでしょうね。

  絶景です。ぜひ訪れてみてください! あれ……でも、大会期間中の12月って、もう入場門がずっと閉まっている時期かも!? (編集部注:管理会社によれば12月中旬の週末は入場可能)

――そのほかのおすすめスポットは?

 美味しいものや素敵なお店はたくさんあります。例えばミカドコーヒーという喫茶店。人気メニューのモカソフトがおすすめです。

プレー面からオフの過ごし方まで、赤裸々に語ってくれた 【スポーツナビ】

――テレビやウェブ配信でカーリングを楽しむさいの注目ポイントは?

 選手たちの会話ですかね。ピンチのときやチャンスのとき、ハウス内で選手たちがどんなことをしゃべっているのか。ウエアマイクを装着しているので、テレビだとかなり把握しやすいと思います。ぼそぼそって口に出す言葉も聞こえちゃうので、選手としては気をつけなきゃいけないんですが(笑)

――うっかり何かしゃべってしまった経験は?

 結構あります(笑)。隣のシートでやっている試合の感想を言っちゃったりとか。あとは、お腹が空いちゃったなあとか……。そんな言葉が出そうになったときには、マイクを手で覆って声を拾われないようにします(笑)。

――作戦を聞かれたくないからマイクに手をやっているわけではないと。

 むしろ、試合とは関係ないことをしゃべっているんだと思っていただければ(笑)。

オールラウンダー&個性あふれる仲間たち

今年2月日本選手権での中部電力。左から鈴木、江並、中嶋、北澤、石郷岡 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

――中部電力というチームの特徴は?

 オールラウンダーな選手が多いこと。各選手がそれぞれの役割を分かった上でプレーできるのは強みだと感じています。個性あふれる選手がそろっていて、爆発力があるチームともよく言われます。

――その個性あふれるメンバーについて紹介してもらえますか? まずはリードの鈴木みのり選手から

 淡々とショットを投げるタイプで、職人気質というか、まるで武士のような雰囲気も漂います。性格は真面目。そして除菌マニアですね。海外遠征に行くと、「超殺菌」みたいな文字が入ったクリーナーとか、そんな除菌グッズがカバンから必ず出てきます。長めの遠征だと、リセッシュとか1本丸々使い切りますよ(笑)。

――続いてセカンドの江並杏実選手は?

 素晴らしいスイープ力を持つ選手。チーム随一の筋力を誇り、ベンチプレスなんかでも、重たいおもりを一発で挙げちゃいます。スクワットもすごい。中部電力のパワー担当です。性格は一見大人しいんですけど、話すとすごく面白いというか、いきなり突拍子もないことを言ってみんなを笑わせてくれます。

――サードの中嶋星奈選手については?

 いろんなショットを多彩に投げれる選手。ショット力が最大の強みで、ピンチのときにも、速いショットでたびたびチームを救ってくれます。あとはコミュニケーション能力ですね。明るいキャラクターで、いつもチームの雰囲気を明るくしてくれます。元気者で、ユーモアがあって、おっちょこちょいで、おとぼけなところもあって。例えば左右で違う靴下をはいていたりとか(笑)。

――リザーブの石郷岡葉純選手は?

 自分の役割をしっかり考え、いつでも試合に出られる準備をしてくれているので、チームとして心強い。私生活ではすごく多趣味。ギターを弾いたり、手芸をしたり。手先が器用なので、壊れたストップウオッチをドライバーで分解し、直しちゃったりとか。英語力もすごく高いので、海外遠征時はとても頼りになります。

1/2ページ

著者プロフィール

1975年三重県生まれ、日大芸術学部卒。大学在学中からフリーライターとして約15年間活動したのち、総合週刊誌「サンデー毎日」(毎日新聞社)契約記者に。その後、時事通信社でプロ野球などを取材。19年秋に日刊スポーツ新聞社へ移り、五輪競技などを担当する。プロフィール画像は21年6月、当時幼稚園年長の一人娘が手がける

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント