「スイープの迫力違う」「ブラシの音もはっきり」 TM軽井沢の両角友佑&公佑・兄弟インタビュー

奥岡幹浩
 国内外の強豪チームがそろう軽井沢国際カーリングが12月13日から3日間、長野・軽井沢アイスパークで開催される。男子で国内注目チームのひとつが、地元のTM軽井沢。いずれも2018年平昌五輪出場経験を持つ両角友佑(39)と公佑(36)の兄弟がチームを支える。豊富な経験を持つ2人が、地元大会の魅力や見どころ、男女のカーリングの違い、そしてオリンピックへの思いについて大いに語った。

今年も強豪が来日。ますます大きな大会に

ストーンを投じる両角友佑と、スイープする公佑(左)の兄弟 【写真は共同】

――軽井沢出身のご兄弟にとって、軽井沢国際カーリングはどんな大会ですか。

友佑 ここ数年はとくに、海外から多くの有力チームが来日するようになりました。今年の出場予定チームも強豪ばかり。大会の評判や価値が国際的に高まっているから、各国のトップチームがどんどんやってきて、ますます大きなイベントになっている。ファンにとっては、世界の技術を国内で見られる貴重な機会といえます。

公佑 国内チームは現在、男女ともにレベルが上がり、日本選手権をはじめとする国内大会でも熱戦が多い。そんな状況の中で、兄がいま言ったように、世界トップ10に入るような有力チームが来日する。国内勢と海外勢の対戦も楽しみだし、海外トップチーム同士の試合を見られることも楽しみ。そんな大会が僕たちの地元で開催されることは、とても嬉しいですね。

弟の公佑は、世界トップ10に入る大会を楽しみにしているという 【スポーツナビ】

――今年だと、とくに注目が高そうな海外チームや注目選手は。

友佑 男子だと、スウェーデンのチーム・エディンと、イタリアのチーム・レトルナスの両チームでしょうか。この2チームが激突することになれば僕も観戦したい。

公佑 スウェーデンは22年北京オリンピックの金メダルチーム。イタリアは昨年、世界ランキング1位になった強豪で、長身選手がそろっています。サイズがあるから迫力があり、パワフルなショットをバシバシ決めてくる。見ていて面白いチームだと思います。

友佑 イタリアは自国開催の次の五輪に向けて気合が入っていると思います。シーズンが進むにつれて状態はどんどん上がってくるのでは。軽井沢国際でも期待できそうです。

公佑 個人的な注目選手だと、リードのポジションを長くやってきた自分としては、スウェーデンのサンドグレン選手を挙げたいですね。ストーンを置く位置が絶妙。トップチームのリードやセカンドは、どこにストーンを置き、どう試合を作っていくか。そのセットアップの部分にも注目したいです。

――女子ではどの海外チームが注目ですか。

友佑 真っ先に名前が挙がるのはスイスのチーム・トリンゾーニ。やっぱり強い。

公佑 世界選手権を4連覇したチームで、同大会36連勝の記録を持っている。まさに現代の最強チームです。

男子カーリングはたった一投で局面が急変

大きな声でチームメートに指示を送る両角友佑 【Photo by Dean Mouhtaropoulos/Getty Images】

――試合観戦するうえで男子ならではの面白さや、男女の違いは。

友佑 大きな違いは力強さ。例えば、ブラシで氷をこするスイーピングの迫力ですね。先ほども話題に出たイタリアのチームだと、身長が高いからなおさら、その迫力が伝わりやすい。あとはショットのパワフルさも男子ならでは。石がたまっている状況でも、たった一投で局面が一気に変わる。そんな爽快感を感じられる回数は、男子の試合のほうが圧倒的に多いはず。

公佑 同感です。逆に言えば女子の場合、男子のような力強いスイーピングがなくても、目を見張るようなショットを決めてくる。投げる技術の高さをそのまま感じられるところは、女子ならではの魅力かなとも思います。

――初めてカーリング生で見るファンに、会場で注目してみると面白そうな部分は。

公佑 意外と大きな声を出しているんだと感じられるのは、生観戦だからこそ。テレビで見ていてもチーム同士でコミュニケーションを取り合っていることはわかるかもしれませんが、会場だと特に実感できるはず。あと、速いウエートで投げたときの石のぶつかる音は、なかなかテレビでは感じられない部分。その迫力を楽しんでいただければ。

友佑 シャカシャカ動くブラシの音も、現地だとかなりはっきり聞こえます。さらにいえば男子と女子で、その音も結構違う。ぜひ会場で、直接感じていただければ。あとは映像よりも実際のシートは長く感じられるようですね。「あんな遠いところから狙ってるんだ」といった感想はよく耳にします。

現地観戦時には、「ブラシの音の違い」に注目してほしいと友佑 【スポーツナビ】

――ところで公佑選手は昨季、GM補佐として過ごされました。今季の肩書や立場は。

公佑 プレーヤーに戻り、フィフスという立場でやっています。フロントの人間だった昨季は遠征には同行せず、各選手のスタッツをつけていましたが、今季は海外遠征にも参加しています。

――再び選手となり、GM補佐を1年努めた経験が生きていると感じることは。

公佑 以前よりチームメートのプレーをしっかり見ることはできるようになったかもしれません。客観的にチームやチームメートを見る機会を作れたからこそ、今シーズン、再び新鮮な気持ちで日々を過ごせていることは間違いないです。

――友佑選手は、6年ほど前から、女子の中部電力でコーチも兼任されています。そのことによる自身のプレーへの影響はありますか。

友佑 試合を見る数や幅はすごく広がりました。男女のプレーの違いを考えながら試合を見ることで、固定概念にしばられず、広く見られるようになったと思います。また、経験をコーチとして選手に伝える行為は、自分自身の振り返りにもなるので、自分のプレーにもいい影響が出ていると感じます。

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著者プロフィール

1975年三重県生まれ、日大芸術学部卒。大学在学中からフリーライターとして約15年間活動したのち、総合週刊誌「サンデー毎日」(毎日新聞社)契約記者に。その後、時事通信社でプロ野球などを取材。19年秋に日刊スポーツ新聞社へ移り、五輪競技などを担当する。プロフィール画像は21年6月、当時幼稚園年長の一人娘が手がける

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