東京五輪での日本選手全メダリストをプレイバック 連続メダルを狙ってパリに挑む日本選手たち【前編】

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「東京五輪なんてやっている場合か」。2020年、新型コロナウイルスが世界中で蔓延し、東京五輪開催の是非で世論が割れた。その後、2021年に異例の延期が決定。世論が割れたまま、静寂に包まれた国立競技場で開会式が始まった。本来であれば観客の熱狂の中、圧倒的なホームアドバンテージで優位に立てたはずの日本の選手たちは、無観客試合にも関わらず見事なパフォーマンスを披露してくれた。日本は過去最多の金27、銀14、銅17の計58個メダルを獲得。金メダル数はアメリカの39、中国の38に続く3位と健闘した。

 日本時間の7月27日に開幕を迎えるパリ五輪の前に、東京五輪でメダルを獲得した選手たちを一挙にプレイバック。前編は周囲のプレッシャーに負けず、実力を見せつけたメダリストたちを中心に振り返る。東京に続けて、パリでのメダルを狙う選手たちにも注目したい。

阿部一二三、詩兄妹はパリでも健在

阿部一二三、詩は兄妹そろって2度目のW金メダルなるか 【写真:ロイター/アフロ】

 男子60kg級の髙藤直寿の金メダルを皮切りに、翌日は阿部一二三、詩の兄妹が同日に金メダルを獲得するという快挙を演じた。勢いづいた日本は、男子73kg級・大野将平、男子81kg級・永瀬貴規、男子100kg級・ウルフ アロン、女子70kg級・新井千鶴、女子78kg級・濵田尚里・女子78kg超級・素根輝も圧倒的な強さを見せて優勝し、計9個の金メダルを獲得。さらに女子48kg級の渡名喜風南が銀メダル、女子57kg級・芳田司が銅メダルを獲得し、伝統のお家芸・柔道の選手たちは、地元・東京で大いに躍動した。

 そして迎えた競技最終日、新種目の柔道混合団体。男女3選手ずつ、計6選手が1度ずつ試合を行い、4勝した方が勝利するというルールだ。決勝の相手は、4大会連続メダルのテディ・リネールらを擁する強豪のフランス。金メダルが期待されたが、まさかの1-4で日本は圧倒された。

 パリでは、男子は永瀬貴規、阿部一二三、ウルフ アロン、女子は阿部詩、素根輝が2大会連続の金メダルを狙う。そしてアウェイ・パリで混合団体の雪辱を期す。

須﨑優衣は吉田沙保里、伊調馨、川井梨紗子に次ぐオリンピック2連覇を目指す 【写真:エンリコ/アフロスポーツ】

 柔道の競技日程が終了し、五輪後半戦でメダルラッシュに沸いたのがレスリングだ。

 日本勢は金5個(フリースタイル/男子65kg級・乙黒拓斗、フリースタイル/女子50kg級・須﨑優衣、フリースタイル/女子53kg級・向田真優、フリースタイル/女子57kg級・川井梨紗子、フリースタイル/女子62kg級・川井友香子)、銀1個(グレコローマンスタイル/男子60kg級・文田 健一郎)、銅1個(グレコローマンスタイル/男子77kg級・屋比久翔平)の計7個のメダルを獲得。特に金5個のうち4個と女子が大健闘。なかでも須﨑優衣は前回の東京を含めて海外選手に94戦無敗、国際大会は24大会連続優勝と、金メダル候補筆頭の地位は揺らがない。五輪3連覇の吉田沙保里、4連覇の伊調馨の2人に近づくことができるか?

 また、東京2020で惜しくも決勝で敗れ銀メダルの文田健一郎(グレコローマンスタイル/男子60kg級)も、悲願の金メダルを狙う。

日本体操界に新たなレジェンドが誕生

橋本大輝が個人総合で連覇を達成すれば、加藤澤男、内村航平に続き、日本人3人目の偉業となる 【写真:ロイター/アフロ】

 4大会連続の五輪出場の内村航平は得意の鉄棒でまさかの落下。金メダルが期待された日本体操界のレジェンドが、予選で姿を消した。

 だが、東京2020で日本体操界に新たなレジェンドが誕生する。男子個人総合を史上最年少の19歳355日で制した橋本大輝である。得意の男子種目別鉄棒でも金メダルを獲得。初出場のオリンピックで2冠を達成した橋本は、パリでは「日本のエース」として乗り込む。

 惜しくも銀メダルに終わった男子団体は橋本のほか、男子種目別あん馬銅メダルの萱和磨、谷川航も代表に選ばれた。橋本大輝を中心に、2016年リオデジャネイロ大会以来の金メダルを狙う。

 また女子では、村上茉愛が女子種目別ゆかで銅メダルを手にした。体操女子の個人でメダル獲得は史上初の快挙となった。(1964年東京五輪の女子団体で銅メダル)

大橋悠依は、日本女子として初めて1大会で2つの金メダルを獲得した 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 一方で、地元・東京で惨敗に終わったのが競泳だった。東京2020で競泳陣が獲得したメダルは大橋悠依の金メダル2個(女子200m個人メドレー、女子400m個人メドレー)、本多灯の銀メダル1個(男子200mバタフライ)の計3個に終わった。2012年ロンドン大会の11(金0、銀3、同8)、2016年リオデジャネイロ大会の7(金2、銀2、銅3)から大きく数を減らすこととなった。

 なかでも金メダル候補の瀬戸大也が最初の種目400メートル個人メドレーでまさかの予選敗退の大波乱。続く200メートルバタフライでは準決勝で敗退、背水の陣で臨んだ最後の種目200メートル個人メドレーは4位で、まさかのメダルゼロに終わった。

 大橋悠依、本多灯は2大会連続のメダルを目指し、パリ五輪に出場。瀬戸は、3月23日に行われた代表選考会、男子200メートル個人メドレー決勝で1分56秒87の好タイムをマークしてトップでゴール。男子200メートルバタフライ、400メートル個人メドレーで五輪出場を逃し、最後のチャンスで3大会連続の五輪出場を決めた。(※選考会終了後、400メートル個人メドレーの追加出場が決定)

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