カーリングの世代交代は進むのか 次世代の2チームが激戦区制して日本選手権へ

竹田聡一郎

後列右から前田拓海、中原亜星、前田拓紀、上川憂竜、フィフス兼コーチの小野寺亮二。前列右から中島未琴、仁平美来、伊藤彩未、山本冴、田畑百葉 【写真:筆者撮影】

 12月上旬から各地で行われた地域ブロックの予選が終了し「第41回全農日本カーリング選手権大会」に出場する男女10チームずつ、計20チームが出揃った。

 最大の激戦区である北海道では「第43回北海道カーリング選手権大会兼アルバータ杯カーリング大会」が札幌のどうぎんカーリングスタジアムが開催され、男子がLOCOSOLARE(Maeda/ロコ・ドラーゴ)、女子が北海道銀行(Tabata/北海道銀行リラーズ)がそれぞれ優勝した。

「ドラちゃん」の目標は「まずは予選突破」

 LOCOSOLAREはチームとして初出場だった2021年の日本選手権(常呂ジュニアとして出場)は、中原亜星ー前田拓紀ー上川憂竜ー前田拓海の編成で決勝まで駆け上がった。まだ全員が現役の高校生だった。その年の日本ジュニア選手権で優勝を果たしジュニアの世界選手権に挑戦。基本的にはジュニアのカテゴリーでプレーしてきたが、2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックレースが始まる、今季の23/24シーズンから、藤澤五月らを擁するロコ・ソラーレ(Fujisawa)の弟分チームとして再出発を切った。

 ポジションも現在は中原と上川の役割を入れ替える形で、上川ー前田拓紀ー中原ー前田拓海という投げ順になった。前田拓海が「僕たちの強みはソフトウェイト」と語るようの効果的にハウスに石を集める攻撃的なカーリングを掲げ、今季のカナダ遠征ではマニトバ州で行われた「Mother Club Fall Curling Classic」でツアー初優勝を挙げるなど、結果も出始めた。

 北海道選手権でも全9試合を通してリードを許したのは1度のみ。3点以上失点するエンドはゼロだった。9戦全勝という圧倒的な破壊力で日本選手権に駒を進めた。「ソフトウェイトのショットで石をためて、速いショットで(相手の)石を出して大量得点を狙う。それが僕たちのカーリングです」と前田拓海が語ったとおり、ジュニア時代から潜在していた攻撃的カーリングを貫くことで、リスク管理のポイントも備わってきた印象だ。

 日本選手権では、連覇中のSC軽井沢クラブ(Yanagisawa)をはじめ、準優勝で今季日本チームツアー最多勝利タイのKiT CURLING CLUB(Hirata)、同じくツアー3勝のTMKaruizawa(Morozumi)ら、またひとつレベルが高く、実績のあるチームとの試合が続く。立場としては挑戦者だ。

「(北海道選手権ではゲーム)後半に若干、自分たちのリズムやショットの精度でプレーできてなかった。日本選手権ではそこを改善したい」と分析した上で、残り1カ月の強化としては実戦形式で準備を進める方向だという。

「アイスライン(Nakahara)や北見工大(Honda)さんと練習試合ができたら。スケジュールが合えばお姉さんたちとも試合させてもらって、日本選手権に向かいます。まずは予選突破を目指します」

 前田拓海の言う「お姉さんたち」とはもちろんロコ・ソラーレのことだ。彼女らは彼ら弟分を「ドラちゃん」と呼び、日頃から可愛がってくれているそうだ。姉弟での優勝という新たな歴史に家族一丸で挑む。

ラウンドロビン(総当たりの予選)は8エンドゲームながら大差をつける試合も多く、高いオフェンス力を示した  【写真:筆者撮影】

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