カーリング新シーズンが開幕 オフに目立ったクラウドファンディングの着地点とは?

竹田聡一郎

左から船山弓枝、小林未奈、近江谷杏菜、小野寺佳歩、小谷優奈、吉村紗也香 【(C)株式会社PASSPORT】

2026年につながる重要なシーズンが開幕

 2023/24のカーリングシーズンが8月3日から札幌で開催される、どうぎんカーリングクラシックで開幕する。

 同大会は来年1月から行われる日本選手権の舞台が同じ会場であること、その日本選手権は2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪代表候補チーム選出に繋がることから、例年以上の熱戦が期待できそうだ。

 そんな重要な今季を前にしたオフシーズンでは、選手の移動やチームの体制の変更などが各チームから発表された。

 昨季の日本選手権優勝チームであるロコ・ソラーレ、SC軽井沢クラブ男子に動きはなかったが、女子準優勝のSC軽井沢クラブ女子のメンバーであった江並杏実が中部電力に加入。このオフの目玉と言える動きだった。

 そのSC軽井沢クラブ女子はジュニア世代から上野結生を迎えた。昨季までスキップを務めていた金井亜翠香をリードスキップに据え、上野結生、西室淳子、バイスでフォースに上野美優という投げ順で、上野美の決定力を生かす新オーダーで挑む。

 男子は日本選手権3位の北海道コンサドーレ札幌からフィフスの鈴木実倫がチームを離れたが、コーチ兼任選手として1998年長野五輪代表の敦賀信人がアイスに復帰する。

 また、2021年、当時はまだ高校生ながらも日本選手権準優勝を果たしたドラゴン(常呂ジュニア)が、今季から一般社団法人ロコ・ソラーレに所属し、ロコ・ドラーゴという名前で再スタートを切る。SC軽井沢クラブ、KiT CURLING CLUB(北見協会)、コンサドーレ、TMKaruizawaの4強を、大学生となったロコ・ドラーゴと、札幌国際大学ら若いチームが切り崩しにいく形になりそうだ。

複数チームがクラウドファンディングに挑戦

ロコ・ドラーゴの上川憂竜「一歩ずつ成長できたら」 【筆者撮影】

 選手の動きやチーム編成と並んで話題になったのは、各チームの活動費についてだ。このオフはクラウドファンディングを利用しての集金が目立った。

 SC軽井沢クラブは男女チーム共同で「選手とクラブチームがさらに高みを目指す環境づくりのために、クラウドファンディングを通した支援をお願いすることにいたしました」と、206人の支援者から目標額200万を上回る255万円あまりを集めた。

 日本選手権でロコ・ソラーレに土をつけるなど躍進を見せたフィロシーク青森の場合は、5月20日からの1カ月強で遠征費や活動費などのための目標金額150万円を上回る281万円が258人の支援者から集まった。

 フォルティウスは現在も支援を募っているが、7月1日にスタートしわずか17日間で目標額の770万円を達成。支援者も370人を超え、まだまだその輪が広がりそうだ。

 この3チームともカーリングに真摯(しんし)に向き合う姿勢と、競技としてチームとしてのポテンシャルが評価され、多くの人を動かしたのだろう。金額の大小ではなくそれぞれ目標を達成できたこと自体が今季を戦う大きな力になるだろう。

※リンク先は外部サイトの場合があります

 近年、スポーツの世界でもクラウドファンディングはポピュラーになってきた。

 明治安田生命は朝日新聞のクラウドファンディングサイト「A-port」に「地元アスリート応援プログラム」を展開し、世界を目指す若手を支援する仕組みをスタートさせている。直近では1994年以来の箱根駅伝出場を目指す慶應大競走部も、合宿遠征費や人件費などの強化費を求めクラウドファンディングを開始。特にアマチュアスポーツ、マイナースポーツではクラウドファンディングはかなり身近な存在となってきた。

 だからこそ、そのリスクと責任を改めて見直さないといけない時期であるのかもしれない。

 カーリングの例として前述したSC軽井沢クラブ、フィロシーク青森、フォルティウスは資金の使い道、返礼品、そしてチームの目標なども明確だ。ファンからの応援コメントも選手に届き、相互交流が生まれる。時代に即した集金方法であり、ファンをいい意味で巻き込む仕掛けでもある。目標を明確にすることでチームと選手には新たな自覚も芽生えるだろう。ポジティブな面は多い。

 一方で既存スポンサーの位置付けや彼らへの敬意が置き去りになってはいないか。もちろん、チームと選手は感謝の念は持ち続けているだろう。それでも、クラウドファンディングを行うことによってそういう印象を外部に与えてしまう可能性はゼロではない。

 海外遠征のち日本選手権での勝利、世界挑戦、五輪出場というイメージに輪郭はあるかもしれないが、継続性という意味ではどう考えているのかどのチームも明言していない。資金はあくまで今季のものであり、来オフもまたクラウドファンディングを立ち上げるのだろうか。

 ただ、誤解を避けるために明記しておくが、前段で例に挙げたチームはスポンサーの理解と了承を十分に得た上でクラウドファンディングを立ち上げている。

 また、フォルティウスの近江谷杏菜は支援者に対して「日ごろよりフォルティウスを温かく応援してくださっているファンの方々、関連企業、家族・友人に対して、これ以上のお願いをするのかと、葛藤はゼロではありませんでしたが、2026年ミラノオリンピックを目指す道となる今シーズンを皆さんと創りあげていけることはとても心強く、そして嬉しく思っています」と感謝とともに複雑な心境を支援者へのメッセージに込めたことも併せて記しておく。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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