プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

Bクラス低迷の巨人は「歴史的事件」を阻止できるのか 4番の爆発継続に加えて“秋のブレイク選手”の出現を

三和直樹

監督通算17年目の巨人・原辰徳監督。今季も苦しい戦いが続いている 【写真は共同】

 今年3月31日に開幕したプロ野球は、記録的猛暑の夏を越えていよいよ“勝負の9月”を迎える。セ・パ両リーグの首位球団に優勝マジックが点灯した今、残りの約30試合をどのように戦うべきか。そして注目ポイントはどこか。12球団の終盤戦の“見どころ”を整理しておきたい。今回は巨人だ。

※成績はすべて9月3日時点のもの

最下位から巻き返すも貯金5で頭打ち

 5年ぶりのBクラスに沈んだ前年からの「発掘と育成」を掲げて臨んだシーズンは、序盤から苦しい戦いを強いられた。中日との開幕カードこそ2勝1敗で勝ち越したが、その後に4カード連続の負け越しで最下位に転落した。

 浮上したのは5月に入ってからだった。5月9日からの21日までの2週間10試合を8勝2敗で借金を完済すると、その後に再び借金生活に突入したが、交流戦を11勝7敗と勝ち越しに成功。サヨナラ勝ちで今季最長の6連勝を飾った6月16日に貯金を最多の「5」とした。この時点で2位のDeNAと1.5ゲーム差の3位。首位の阪神とは5.5ゲーム差だった。

 ここから優勝争いに加わるはずだったが、7月を10勝10敗1分けで波に乗り切れずに終えると、8月は12勝14敗と負け越し。9月は連敗スタートとなり、現時点で59勝60敗1分け、借金1の4位。6月の時点では後方にいた広島に抜き去られ、首位・阪神との差は14.5ゲーム差に大きく広がっている。

戸郷、山﨑に続く若手投手が台頭できるか

 Bクラス低迷の大きな要因は「投手力不足」だろう。今季のチーム防御率3.70は、12球団ワーストのヤクルト(チーム防御率3.74)とわずかな差。開幕前から指摘されてきた先発投手不足は間違いなく、戸郷翔征(10勝5敗、防御率2.98)の孤軍奮闘ぶりが目立つ状況だ。そしてリリーフ陣が12球団ワーストの救援防御率3.93と振るわない。

 その中で注目したいのが、戸郷に次ぐ9勝(3敗、防御率3.05)を挙げている山﨑伊織だ。トミー・ジョン手術を乗り越えて迎えた昨季5勝(5敗、防御率3.14)を挙げた右腕は今季、右肘のコンディション不良で出遅れた。それでも4月の1軍昇格以降は先発ローテを務めながら確かな成長を続け、7月には4戦4勝、防御率1.91の快進撃で月間MVPを受賞する働きを見せた。ただ、8月12日の9勝目を最後にここ2試合は足踏み状態。まずは2ケタ勝利をクリアして戸郷との“ダブルエース”の座をしっかりと固めたい。

 この2人以外にも若手投手の台頭を求めたいが、今季開幕前に「ブレイク筆頭候補」にもげられていた井上温大が、今季4度目の登板となった9月3日のDeNA戦では1回7失点で降板した。この悔しさを飛躍への糧にできるかどうか。さらにもう一人、育成出身ルーキーで5月にプロ初登板初先発初勝利を挙げた松井颯もブレイクが期待される投手。2軍では15試合で7勝2敗、防御率2.09の好成績を残し、9月3日に1軍再昇格した。今後のマウンドが非常に楽しみだ。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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