プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

下位低迷の西武が「避けなければいけないこと」 高橋、平良の先発右腕と若手野手の成長に期待

三和直樹

就任1年目の松井稼頭央監督は試行錯誤を続けながら苦しいシーズンを過ごしている 【写真は共同】

 今年3月31日に開幕したプロ野球は、記録的猛暑の夏を越えていよいよ“勝負の9月”を迎える。セ・パ両リーグの首位球団に優勝マジックが点灯した今、残りの約30試合をどのように戦うべきか。そして注目ポイントはどこか。12球団の終盤戦の“見どころ”を整理しておきたい。今回は西武だ。

※成績はすべて8月31日時点のもの

4月に首位浮上も5月以降に急失速

 松井稼頭央新監督のもとで新たなスタートを切った今季、開幕連敗スタートも3戦目以降は投打の噛み合った戦いでカード勝ち越しを続け、4月22日には11勝7敗の貯金4で首位浮上。4月終了時点でも24試合で13勝11敗と勝率5割以上をキープし、リーグトップの87得点を奪っていた。

 だが、怪我などで主力陣の離脱が相次いだ中で急失速した。5月の24試合では49得点と得点力がほぼ半減し、7勝16敗と大きく負け越し。その悪い流れは交流戦でも変わらず、6月10日から7連敗で6月も9勝13敗と黒星先行。6月30日からは8連敗を喫して最下位に転落し、借金は最大18まで膨れ上がった。

 その後、選手起用のやり繰りを続けながらチームを立て直し、前半戦を6連勝で締めるなどして一時は借金を10まで減らしたが、8月は再び黒星先行で最下位再転落。8月31日時点で116試合を消化して50勝65敗1分けで借金15を背負っている。

力強さを増したエースと今季先発転向の剛腕

 最下位という成績は受け入れ難いが、投手陣の働きは評価に値する。今季のチーム防御率3.02はリーグ2位タイ。リーグトップだった昨季の防御率2.75には及ばないが、先発陣、救援陣ともに期待通り、もしくはそれに近い働きをしている。

 注目は高橋光成だ。力強さを増した今季は、ここまで20試合に登板して9勝7敗、防御率2.36をマーク。3年連続の2ケタ勝利を目前としているだけでなく、リーグ3位の防御率を残し、4完投はリーグトップを誇る。タイトル争いをリードしている山本由伸(オリックス、12勝、防御率1.42)がいないと考えれば、高橋が「パ・リーグのエース」と言っていいピッチングを披露している。残り試合の中でどこまでエースたる成績を残せるかに注目したい。

 もう一人、今季から先発に転向した平良海馬も堂々のピッチングを見せている。ここまで18試合に登板して8勝6敗、防御率2.38。高橋同様にチーム成績が芳しくないために勝ち星こそ伸びていないが、防御率はリーグ4位を誇る。そして計124奪三振もリーグ4位。トップが種市篤暉(ロッテ)の136奪三振で、佐々木朗希(ロッテ)が130、山本由伸(オリックス)が128と続くが、大混戦の最多奪三振王争いの中で平良にもタイトル獲得の可能性が十分にある。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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