プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

Bクラス低迷の巨人は「歴史的事件」を阻止できるのか 4番の爆発継続に加えて“秋のブレイク選手”の出現を

三和直樹

爆発中の4番、正念場の大器、期待のルーキーズ

4番の岡本和真を勢いは止まらない。最終的にどのような成績を残すのだろうか 【写真は共同】

 一方の打線は、チーム打率.258、チーム本塁打145ともにリーグトップを誇っている。その原動力となっているのが、4番の岡本和真だ。WBC出場を経て迎えた高卒9年目の今季、ここまで打率.303(リーグ3位)、37本塁打(同1位)、86打点(同2位)をマーク。8月に月間12本塁打を放った勢いは、9月も3試合連続アーチを放って絶賛継続中だ。チームのAクラス入りのためには爆発を続けてもらわなければ困る。

 その4番の負担を減らすためにも、復調を期待したいのが“大器”秋広優人だ。今季ブレイクを果たして打率.279、10本塁打、39打点の成績を残しているが、8月は26試合で打率.239、0本塁打、5打点と低迷した。長いシーズンの中で不振に陥る時期は必ずあるが、その期間をいかに短くできるかどうか。秋広にとっては正念場の9月になる。

 そして、新人勢だ。浅野翔吾は7月8日の1軍デビューから能力の高さは垣間見せているが、まだ全開ではない。高卒1年目ということを考えると当然ではあるが、来季以降の爆発のためにも少しでも経験を積み、結果も残したいところ。門脇誠は今季野手陣の最大の収穫とも言える働きを見せており、萩尾匡也も9月2日に1軍再昇格を果たして早速スタメン起用された。彼ら“ルーキーズ”の活躍がチームを活性化する。

Bクラスでのシーズン終了は許されない

 チームとして、ここからの逆転優勝は絶望的だが、CS進出は目指すべきターゲットになる。そのためにも、今季対戦成績で5勝14敗と大きく負け越している阪神、さらに8勝16敗の広島の両チームに対して意地を見せたいところ。直接対決はもちろん大事だが、上位球団に勝利することも逆転でのAクラス入りのためには必要だ。4番の爆発継続に加えて、秋を迎えてブレイクする選手の出現を求めたい。

 このまま終わるわけにはいかない。長く「球界の盟主」と呼ばれ続けてきた巨人は、2リーグ分立の1950年以降の73シーズンの中でBクラスとなったのは9回のみ。2年連続でのBクラスは堀内恒夫監督2年目の2005年(5位)から第2次原政権の初年度の2006年(4位)にかけてのたった1度のみで、同一監督での2年連続Bクラスは過去にないのだ。

 このまま「歴史的事件」が起こってしまうのか。再び「暗黒期」と揶揄されてしまうのか。巨人の伝統、プライドにかけて、何としてでも阻止しなければならない。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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