プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

最下位低迷の中日で期待したい20発コンビ誕生と21歳右腕 立浪体制「勝負のとき」へ向けた材料を増やしたい

三和直樹

最下位に低迷する立浪ドラゴンズだが、明るい話題はある 【写真は共同】

 今年3月31日に開幕したプロ野球は、記録的猛暑の夏を越えていよいよ“勝負の9月”を迎える。セ・パ両リーグの首位球団に優勝マジックが点灯した今、残りの約30試合をどのように戦うべきか。そして注目ポイントはどこか。12球団の終盤戦の“見どころ”を整理しておきたい。今回は中日だ。

※成績はすべて8月30日時点のもの

勝率3割台の苦しい夏

 少なからず、期待はあった。オフの補強で充実度が増した先発陣と最強リリーバー・マルティネスによる“守りの野球”を展開した上で、若手野手陣が成長してチームを活気付ける。就任2年目を迎えた立浪和義監督のチームは、未来へ向けて前進するはずだった。

 だが、その期待は落胆に変わる。開幕戦こそ白星を飾ったが、2戦目から4連敗を喫すると、その後も黒星先行の戦い。借金7(8勝15敗)の最下位で4月を終えると、5月(10勝15敗)、6月(10勝12敗1分け)と負債を増やし、7月(7勝13敗1分け)、8月(30日時点で9勝14敗1分け)は勝率3割台の低空飛行。8月18日から8連敗を喫するなど“苦しい夏”を過ごした。

 その結果、現時点で44勝69敗3分けの借金25。シーズン中も積極的なトレード戦略で“血の入れ替え”を行っているが、チームの結果にはなかなかつながっていない。

期待したい中軸コンビのアーチ量産

 低迷の理由は、今季116試合で12球団ワーストの326得点(1試合平均2.8得点)という得点力不足にあることは明らかだ。しかし、その中でも奮闘を続け、9月以降も期待のできる面々はいる。

 シーズンを通して最も目立っているのが、現役ドラフトで加入した細川成也だ。類まれな長打力を評価されながらもDeNAで燻っていたスラッガーは今季、開幕直後からクリーンナップに座り、ここまで打率.278、18本塁打、68打点(本塁打と打点はチームトップ)。6月末から7月にかけて打撃不振に陥ったが、現在は復調して再び存在感を見せている。

 そして、石川昂弥だ。長期離脱から復帰した今季、ここまで94試合出場で打率.249、12本塁打、38打点という成績で、7月には月間打率.346、5本塁打と爆発力を見せた。8月はやや調子を落としたが、4番打者として9月に再爆発して本塁打量産を期待したいところ。細川とともに20本塁打到達者が2人誕生すればチームの得点力は必ずアップし、“強竜打線”復活への大きな足掛かりとなる。

 その他、昨季ブレイクした21歳の岡林勇希が7月から8月にかけて球団記録を大きく更新する「29試合連続安打」を達成すれば、ベテランの大島洋平は通算2000本安打を達成。6月末にトレード加入した宇佐見慎吾は勝負強いバッティングで“サヨナラ男”となっている。残りシーズンの中で、ファンの傷心を癒す“明るい話題”を増やしたい。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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