プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

夏場以降の巻き返しで楽天に3位浮上の可能性 若手を信じて最後までファンを沸かせる戦いを

三和直樹

7月以降は28勝20敗と勝ち越している楽天。逆転でのCS進出を狙う 【写真は共同】

 今年3月31日に開幕したプロ野球は、記録的猛暑の夏を越えていよいよ“勝負の9月”を迎える。セ・パ両リーグの首位球団に優勝マジックが点灯した今、残りの約30試合をどのように戦うべきか。そして注目ポイントはどこか。12球団の終盤戦の“見どころ”を整理しておきたい。今回は楽天だ。

※成績はすべて9月2日時点のもの

最大借金13から7月に巻き返す

 出遅れた。開幕5試合を3勝2敗スタートも6戦目から5連敗で借金生活に突入すると、以降は連勝しても連敗する流れの中で黒星が先行し、交流戦前の5月24日には借金10に到達。セ・リーグ球団相手には通算9勝9敗で乗り切ったが、交流戦明けの10試合を3勝7敗と大きく負け越し、借金は今季最大の13を数えることになった。

 しかし、7月に入ると投打の歯車がガッチリと噛み合う。浅村栄斗を中心とした打線が爆発を続けると、投手陣も先発、リリーフ陣ともに奮闘し、7月5日から破竹の8連勝を飾った。7月だけの成績を見ると、22試合で15勝7敗はリーグトップ。チーム打率.281、24本塁打で計102得点(1試合平均4.25得点)を奪った。

 8月は12勝12敗で終え、9月2日時点で117試合を戦って56勝60敗の借金4。首位・オリックスとは15.5ゲーム差が開いているが、3位のソフトバンクとは2ゲーム差とAクラスが手の届く距離にある。

浅村とともに注目の“ブレイクコンビ”

 9月以降の戦いの中で、まず期待されるのが、4番の浅村栄斗だ。4月は打率1割台だったが、5月に入って調子を上げ、7月に月間打率.395、9本塁打、24打点の大爆発。その反動で8月は調子を落としたが、8月最後の2試合で2戦連発のアーチを放ち、9月の再爆発を予感させている。現時点で23本塁打はリーグトップで、66打点は近藤健介(ソフトバンク)の72打点、柳田悠岐(ソフトバンク)の69打点に次ぐリーグ3位。近藤と柳田が同じチームで打点を“分け合う”ことを考えると、2冠獲得のチャンスは大いにある。

 その他の野手陣では、センターとして堅守を続ける辰己涼介が7月以降は打撃好調で、岡島豪郎、阿部寿樹も8月は打率3割を超えた。そして、開幕から極度の打撃不振に陥っていた島内宏明が8月11日に1軍再昇格を果たして以降、復調ぶりをアピールしているのが頼もしい。

 だが、彼ら以上に注目したいのが、小郷裕哉と村林一輝の今季ブレイクした2人だ。大卒5年目の小郷は、6月から3番打者に座って快音を連発。高卒8年目の村林は7月から「1番・ショート」として働き、俊足とともに勝負強い打撃も披露した。だが、両者とも8月に成績が下降。小郷は打率.215、村林は打率.205と低迷し、小郷は3番打者、村林は1番打者から外された。ここから再浮上できるかどうか。彼らのプロ野球人生を考えた上でも正念場の9月となる。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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