『ワンピース・オン・アイス』は“台詞を体現するスケーティング” 主人公・ルフィ役の宇野昌磨が披露した、自分の殻を破る演技

沢田聡子

豪華なメンバーが『ワンピース』の世界を氷上で再現 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

声優の台詞に乗ったスケーティング

 TVアニメ『ワンピース』の世界を氷上で再現するアイスショー『ワンピース・オン・アイス ~エピソード・オブ・アラバスタ~』の公開リハーサルが、横浜公演初日の前日となる8月10日に行われた。見どころは声優の声で語られる台詞をスケーターがどのように表現しているかという点で、それは他のアイスショーにはない特徴でもある。

 ウソップを演じる織田信成は今まで数多くのアイスショーに出演してきたが、「声優さんの台詞があって、それに乗って動くというのは初めてだった」と語る。

「それは、今までアイスショーを観てきたファンの方でもすごく新鮮に映るんじゃないかな」

 競技としてのフィギュアスケートは音楽を滑りで表現するが、この公演で披露されるのは言葉を体現するスケーティングだ。スケーターは物語中の戦闘や移動、さらには心の葛藤を滑りで表現しながら、声優の台詞に合わせ口を動かして演じる。言葉が出演者から発しているように見える瞬間もあり、それは確かに観る者にとっても今までにない経験だった。

 ビビ役の本田真凜は「このアイスショーに出演されている皆さんは、全台詞を口ずさめるようになっていて」と話した。

「そこに感情を合わせてそれぞれのキャラクターを表すということが、客観的に皆さんのことを見ていてもお稽古の一か月間でどんどん上手になっていって、感動するようなところもたくさんあった」

 またナミ役の本田望結によれば、リハーサルが始まった当初は台詞に応じて口を動かす指示はなく、出演者はスケーティングに集中していた。しかし、振付師が台詞に対応する演技もできるのではないかと発言した翌朝、主人公・ルフィを演じる宇野昌磨が完璧に台詞を覚えてきた上で演技し始めたという。「そこで私は、すごくスイッチが入りました」と女優である望結は振り返る。

「宇野昌磨さんが常に先頭で皆さんを引っ張って、自ら率先して下さっているのが本当にルフィのようで、かっこいいなと」

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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