連載コラム「工藤公康の野球ファイル」

工藤公康が話題の「ピッチクロック」について語る 前夜に祈った千賀滉大のメジャー初勝利

工藤公康

工藤氏はソフトバンクで共に戦った千賀滉大の活躍にも注目している 【写真:Sarah Stier/Getty Images】

 現役通算224 勝。ソフトバンク監督時代にはチームを5度の日本一に導き、2022 年からは野球評論家として幅広く活躍する工藤公康さん書き下ろしの連載コラム。侍ジャパンのWBC優勝で世間が盛り上がるなか、日米で2023年シーズンが開幕しました。開幕日の3月31日は東京ドームにいたという工藤氏は、声援・鳴り物応援が戻ってきた球場の雰囲気に、どんなことを感じたのでしょうか? また、今シーズンからMLBで導入されたピッチクロックについて、メジャー初登板から2連勝のメッツ・千賀滉大投手への期待についても語ります。

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ファンのためにプレイボール時刻に工夫を

佐々木朗希の今季初登板は平日にもかかわらず14時のプレイボールとなった 【写真は共同】

 WBCでの世界一奪還の余韻冷めやらぬなか、日米でプロ野球が開幕しました。

 日本では昨シーズンまで、新型コロナウイルスの影響で手拍子と機会音による応援が制限されていましたが、今年から球場での声出し応援ができるようになりました。3月31日のセ・リーグ開幕戦の日、私は東京ドームにいました。選手が守備位置につく瞬間や打席に立つ瞬間など、選手の1プレー1プレーに対する声援、歓声を聞いて、「ああ、これがプロ野球の開幕だ」と、忘れかけていた興奮を思い出しました。球場の盛り上がり、ファンのみなさんの応援、心に響く本物の歓声を聞いて、プロ野球を支えてくれている方々の有難さを改めて実感しました。

 4月6日は、午前中にエンゼルスの大谷翔平選手が二刀流出場したメジャーリーグ中継を、午後からは佐々木朗希投手が登板したロッテ対日本ハムのデーゲームを、夜には山本由伸投手が登板したオリックス対ソフトバンクのナイトゲームを観ることができました。いずれもWBCでの熱投が記憶に新しい侍たちの姿を堪能できた1日だったのではないかと思います。

 このように1日中野球を観られるファンにとってたまらない日もあれば、週末に開催されるプロ野球6試合すべてがデーゲームという日もありました。WBCをきっかけに贔屓のチーム以外の選手に興味を持った方も多いかと思います。運営側にも様々な事情があると思いますが、それでも、より多くの方々にいろいろなチームの選手の活躍を観てもらうためにも、試合開始時刻を分けることを考えても良いのかなと思っています。

 アメリカでは、MLBやNFL(アメリカンフットボール)などでも、もともとの時差に加え、試合時間を柔軟にずらすことで、より多くの視聴者を取り込むことに成功していると聞きます。特にプレーオフの試合ではその取り組みが顕著で、1日中スポーツを楽しめることができるようです。

 日本の週末、そしてクライマックスシリーズでは、セ・パ同時刻のプレイボールが多い現状ですが、ファンのみなさんのために是非とも再考してみるのも良いのではないでしょうか。

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著者プロフィール

1963年5月5日生まれ。愛知県出身。名古屋電気高校(現:愛知名電高校)から1981年、西武ライオンズからドラフト6位指名を受け、入団。西武黄金期を支え、福岡ダイエーホークス、読売ジャイアンツ、横浜ベイスターズに在籍。現役時代は14度のリーグ優勝、11度の日本一に貢献し、優勝請負人と呼ばれた。現役通算で224勝を挙げ、最優秀選手(MVP)2回、最優秀防御率4回、最高勝率4回など数多くのタイトルに輝き、正力松太郎賞は歴代最多に並ぶ5回受賞。2016年には野球殿堂入りを果たした。2011年に現役を引退後、2015年に福岡ソフトバンクホークスの監督に就任。7年で3度のリーグ優勝と5度の日本一に導いた。現在は野球評論家として活動しながら、筑波大学大学院博士課程に進学。スポーツ医学博士取得に向け研究や検診活動を行っている。

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