春季キャンプで見たい! 期待の若手をチェック

春季キャンプで見たい期待のセ・リーグ若手野手8選 谷繁元信&里崎智也が期待するDeNAのドラ1捕手

前田恵

谷繁氏が注目するのはDeNAのドラフト1位ルーキー・松尾汐恩。1年目から試合で試してみたい捕手だと話す 【写真は共同】

 充実したキャンプを送り、今シーズン一気に大ブレイクする選手は誰なのか? キャンプで選手個々がどんな課題に取り組み、どんな成長を見せてくれるか楽しみなファンも多いだろう。今年もキャンプ取材を控える元捕手の谷繁元信氏、里崎智也氏にキャンプで見たい期待のセ・リーグの若手野手について話を聞いた。

石川昂弥の1年を通しての活躍に期待したい

里崎氏が真っ先に挙げた選手は、今年4年目を迎える中日の石川昂弥。昨年はケガでつまずいただけにキャンプでの仕上がりに注目が集まる 【写真は共同】

――今回は、セ・リーグの野手の中から「キャンプで見たい選手」を挙げていただきます。

谷繫 僕はDeNAのドラフト1位ルーキー・松尾汐恩選手ですね。松尾選手が1年目から一軍の試合に出てこられる素材かどうかに興味があります。

里崎 彼は試合で使っていけば面白いですよね。もちろん、使えるようになるか否かがまず先決ですが。

谷繫 DeNAは一昨年の最下位から昨年2位に浮上し、今年は是が非でも優勝したいところ。しかしそうなれば、ルーキーは使いづらくなるかもしれません。そのあたりは球団、三浦監督以下、首脳陣がどんなふうに考えるかではありますが、できれば少しずつでも早めに経験を積ませていきたいなと、僕は個人的に考えています。

――やはり早めに経験を積ませてみたい選手と、じっくりファームで鍛えていきたい選手に分かれるんですね。

谷繫 それは各球団ありますよ。特にドラフト1位は、そういう期待を持って指名しているわけですから。キャッチャーのレギュラー枠で期待できない選手を、1位枠では指名しないと思います。それならば、球団がどんなプランで育成していくのかに興味がわきますね。

――谷繁さんは同じチーム(当時大洋)、ドラフト1位の高卒キャッチャーという共通点がありますが、ご自分の1年目を振り返って何か感じるところがあるのでしょうか?

谷繫 チーム状況が違うので比較はしづらいですね。例えば今のDeNAにキャッチャーがいないのであれば、松尾選手をどんどん使って失敗も繰り返しながら、そのなかで成長させる育成方法もあるのでしょうが、チームが優勝を目指しているなか、高卒のキャッチャーをすぐ正捕手として使うのは、非常に難しいと思います。もちろん、松尾選手がキャンプ、オープン戦で予想以上の力を見せてくれて、使わざるをえない状況になれば別ですが。

――さて里崎さんは、誰からいきますか?

里崎 僕は中日の石川昂弥選手ですね。同じ内野手の阿部寿樹選手を、トレードで楽天に出しました。これはもう、「三塁は石川で行きます」と宣言したようなものです。昨年も石川選手を三塁に起用する腹積もりだったのが、5月に左ひざをケガして離脱してしまいました。彼が1年間通して一軍でプレーしたら、どれぐらいの成績残すんだろうと思います。そこは、見てみたい。ちなみに石川選手はよく「大砲」といわれているけど、長距離ヒッターじゃないですよね、シゲさん。

谷繫 彼は中距離ヒッターだね。

里崎 ドラゴンズが浮上するためには、彼みたいな選手が頑張らなくちゃいけないですよね。本当は昨年、一軍で戦力にならなければいけなかったんだけど。

谷繫 そうなんだよね、ルーキーのとき1年経験を積んで、これから、という2年目に死球で骨折、昨年も今年こそはと思ったら、今度は左ひざ前十字じん帯損傷。また今年、1年目からスタートし直すみたいな感じになっちゃった。出だしでちょっとつまずいてはいたんだけど、そこから徐々に上がってきたところでのケガだったから、ホントもったいないですよ。

里崎 今年は彼も4年目なので、1年を通しての活躍に期待したいですね。

谷繫 高卒4年目なので、また正念場とまではいかないけれども、遅いよりは早いほうがいいからね。

森敬斗が大激戦の遊撃手争いを制するか

里崎氏はスピードがある森敬斗のレギュラー獲りに期待。京田陽太が加入し、熾烈なポジション争いが待っている 【写真は共同】

――では、2人目はいかがでしょう。

谷繫 僕は、ヤクルトの内山壮真選手。こういう選手が結構、好きなんですよ。体はそんなに大きくないけれども、バッティングも力もしぶとさもある。もともと内野も守っていて、キャッチャーになって年数が浅いのに、昨年も中村悠平選手がケガで出遅れたときには、結局最終的には内山が一番安定しているキャッチャーになりました。今年は二番手捕手の筆頭ですよね。中村との併用のなか、チャンスを伺いながら、レギュラーを獲れる位置にまで来ているので、これからさらに成長していくのが楽しみな選手です。

里崎 僕の二番手はDeNAの森敬斗選手ですね。昨季はオープン戦のケガで出遅れたけれども、終盤、うまくハマりましたよね。彼は、足もあるし。DeNAは足を使える選手が少ないので、ショートを守って2割7、8分打てれば、DeNAも一気に優勝の可能性が出てくるんじゃないかと思います。森選手がケガなく、1年を通して戦うことが前提ですけどね。ドラフト1位ですし、チームとしても早く一本立ちしてほしいんじゃないですか。

谷繫 今年中日から京田陽太選手がトレードで来て、DeNAのショートは間違いなく競争になるでしょう。球団も、そういう目論見のはず。そこに勝ってレギュラーを獲れれば、より力が付くと思いますよ。

里崎 熾烈な争いですよね。大和選手がいて、京田選手、ルーキーの林琢真選手が新加入。かといって牧秀悟選手がいるから、セカンドには回れない。ショートの争奪戦からは逃れられないということで。

谷繫 本人もそれはひしと感じているでしょう。これまでと同じことをしていては一歩上に行けないと思えば、必然的に策も考えるだろうし。それを実践していければ、必ずまた成長できる。その姿がキャンプから見られることに期待したいですね。

1/2ページ

著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント