日本代表のW杯はまだ終わっていない!今一度、原点に立ち返るべき 短期連載「異例づくめのW杯をゆく」
連敗が許されないセルビア代表。カメルーン戦に向けて、サポーターも緊張の面持ちだ 【宇都宮徹壱】
スイスの堅守を破ってトーナメント進出を決めたブラジル
そんなわけでこの日は、13時のカメルーンvs.セルビア(@アル・ジャヌーブ・スタジアム)、そして19時のブラジルvs.スイス(@スタジアム974)を取材することにした。日本のグループEについては、のちほどあらためて触れることとして、まずはグループGの2試合を振り返ることにしよう。
グループGは、初戦に勝利したブラジルとスイスが1位・2位、敗れたカメルーンとセルビアが3位・4位となっている。どちらも「負けたら終わり」という、カメルーンとセルビアの試合は、激しいゴールの応酬の末に3-3 のドローに終わった。
1点ビハインドとなったセルビアは、前半アディショナルタイムの2ゴールで逆転。さらに後半早々にも3点目が入り、これで決まりかと思われた。しかし、背後をぶち抜かれて失点するシーンが繰り返され、またたく間に同点に。ひらめきとムラっけをたっぷり含んだ試合展開は、国名がユーゴスラビアだった時代からほとんど変わることはなかった。
苦戦のセレソンを救ったのはカゼミロ(右)のゴールだった 【GettyImages】
ブラジルとスイスは、どちらも多様なルーツを持つ選手たちで構成されているが、カメルーンとセルビアはその真逆。二重国籍の選手もいるものの、アフリカ系とスラブ系で統一されたチーム同士の対戦ということで、1980年代のW杯を見ているような気分になった。民族的な多様化は不可逆的な時代の流れだが、ネーションズカップとしてわかりやすかった時代が、ふと懐かしく感じられたゲームでもあった。