日本代表のW杯はまだ終わっていない!今一度、原点に立ち返るべき 短期連載「異例づくめのW杯をゆく」

宇都宮徹壱

日本代表にヒントを与える(?)コスタリカ代表監督の言葉

日本が追い詰められることとなったコスタリカ戦。次のスペインにどう挑むべきか? 【宇都宮徹壱】

 ここからは、2巡目が終わったグループEについて、あらためて考えてみたい。日本がコスタリカに0-1で敗れた同じ日の22時、スペインvs.ドイツの試合が行われた。スペインは後半17分、アルバロ・モラタのゴールで先制。しかしドイツも後半38分、途中出場のニクラス・フュルクルクの同点弾が炸裂し、そのまま1-1でタイムアップとなった。

 かくして、日本のファンが期待した「スペインが大差でドイツに勝利」という展開にはならず。2巡目を終えての順位は以下のとおりとなった(カッコ内は勝ち点/得失点差)。1位:スペイン(4/+7)2位:日本(3/±0)3位:コスタリカ(3/−6)4位:ドイツ(1/−1)。日本は勝てば文句なし、引き分けでも裏の試合の結果次第でトーナメントに滑り込むことができる。

 とはいえ、事ここに至っては、日本が目指すのは勝利のみ。W杯という舞台で、スペインとガチンコで対戦する舞台が整ったという意味では、むしろ願ってもないシチュエーションと言えるのではないか。ここで注目したいのが、コスタリカ代表のルイス・フェルナンド・スアレス監督。日本に勝利した試合後の会見で、彼はこんなコメントを残している。

「今日の試合でわれわれが勝てたのは、(最終ラインの枚数が)4とか5とか、そういう戦略的な問題ではない。われわれは日本に対して、ずっと集中力を保ちながら団結し続けた。勝利の理由。それは戦略によるものではなく、われわれが原点に立ち返ることができたからだ」

 コスタリカがスペインに0-7で大敗した時、コロンビア人監督に対する国民の風当たりは、極めて厳しかったと聞く。チームの立て直しについても、今の日本とは比べ物にならないくらいの重圧と苦悩があったはずだ。スアレス監督が下した結論は「原点に立ち返る」こと。結果としてコスタリカは、時に辛抱強く、時にのらりくらりと攻撃をかわしながら、乾坤一擲(けんこんいってき)のカウンターで日本を沈めることに成功した。

 スペイン戦を前にした日本代表を取り巻く空気は、かつてなく悲観的なものとなっているように感じる。しかしながら、日本代表にとってのW杯はまだ終わっていないし、中3日でスペイン戦はやってくるのだ。もちろん、できることは限られている。だからこそ、ドイツに挑んだ時の原点に今一度、立ち返るべきではないか。日本代表も、そして私たちも。

<11月29日につづく>

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著者プロフィール

1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著に『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)

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